胃がんの早期発見には胃がん検診が重要です。X線検査と内視鏡検査のどちらを受けますか?
胃がんは早期発見が鍵
部位別のがん死亡者数で、
胃がんは男女共に第2位
(男性1位は肺がん、女性1位は大腸がん)になっていて、
日本人に多いがんです。
日本人の胃がん罹患率は、欧米人と比べて高いのですが、
その理由として、日本人の塩分摂取量が高いことが
挙げられます。
胃がんの発症リスクのひとつに、
塩分過多がありますが、
日本人の塩分摂取量は平均10g以上であるのに対し、
アメリカ人は8g、ヨーロッパはさらに少ないんです。
胃がんの5年生存率(1997年~2000年、初回入院例)は、
ステージⅠ=99.1%、ステージⅡ=72.6%、
ステージⅢ=45.9%、ステージⅣ=7.2%となっています。
つまり、胃がんの初期に発見できれば、
5年生存率はほぼ100%に近いのですが、
病状が進行すればするほど死亡率が高くなるんです。
がん全体が、早期発見・早期治療が重要と言われていますが
特に胃がんは5年生存率の数値を見ても、
いかに早期発見が鍵かがお分かりいただけると思います。
胃がん検診は、内視鏡は根拠なし?
胃がんを早期発見するためには、
胃がん検診を受ける必要があります。
胃がんは、自覚症状が出る頃には、
かなり進行していますので、
検診でこまめに胃の状態を
チェックしておかなくてはいけません。
胃がん検診には、主にバリウムを飲む
X線検査と内視鏡検査(胃カメラ)の2種類があります。
今年、厚生労働省による胃がん検査の指針が
8年ぶりに改訂されますが、
その中でX線検査は従来どおり公費検診が推奨され、
内視鏡検査は推奨されないことがわかりました。
その理由として、
「内視鏡検査による胃がんの死亡数の減少が
明らかではないから」と厚生労働省は説明しています。
ただ、実際に医療現場で働く医師からは、
内視鏡検査の有効性が指摘され、
今回の厚生労働省の方針に疑問の声も出てきています。
内視鏡検査とX線検査はどっちが良い?
内視鏡検査とX線検査は、
それぞれメリットとデメリットがあります。
内視鏡検査は、
胃の粘膜をよく観察することができるので、
胃がんの早期発見の精度は高いと言われていますし、
細胞を取って生検に出すことができるため、
胃がんの確定診断をすることが可能です。
ただ、人によっては、
内視鏡を飲み込む時の苦痛が大きいという
デメリットがあります。
X線検査は、内視鏡検査よりも苦痛が少なく、
検査の手間が少ないというメリットがあります。
また、胃の形全体を観察することができることが特徴です。
しかし、X線検査で胃がんの疑いが発見された場合、
内視鏡検査をしないと、胃がんの確定診断ができない
というデメリットがあります。
内視鏡は、胃の粘膜を実際に観察できるので、
粘膜にできている小さながんも発見できるのですが、
最近話題になっているスキルス性胃がんは、
胃の全体の形がわかるX線検査のほうが発見しやすい
とも言われています。
X線検査も内視鏡検査も一長一短であり、
互いに短所を補い合う検査と言えるでしょう。
そのため、胃がん検診は両方受けることが理想ですが、
どちらを受けるか迷う場合は、医師に相談してみて下さい。