ストレスで発熱する心因性発熱。心因性発熱について知りましょう。
ストレスで発熱する?
風邪を引いたわけではないのに、
突然熱が出たという経験はありませんか?
原因不明の熱で、
いわゆる「大人の知恵熱」と言われるものです。
これは、ストレスが原因なんです。
人間を含めた哺乳類は、
体温を一定に保つことのできる恒温動物ですよね。
恒温動物は、ストレスを受けると体温が上昇することが、
数々の動物実験で判明しています。
普通、ストレスによる体温上昇はごくわずかで、
37℃を超える「発熱」に至らないことが多いのですが、
現代人は忙しく、
常に過度なストレスにさらされていることが多いためか
ストレスによる体温上昇が37℃以上になることが
増えてきています。
この過度なストレスによる37℃以上の発熱は、
心因性発熱と診断されます。
心因性発熱には2つのタイプがあり、
急性の強いストレスで体温が一気に上昇し、
ストレスが無くなると体温が自然に下がるもの。
これは「大人の知恵熱」と呼ばれていたものですね。
もう1つのタイプは、
長期間にわたってストレスを感じることで、
38℃未満の微熱が長く続くものです。
原因不明の微熱や体調不良が続いている人は、
こちらのタイプかもしれません。
心因性発熱の仕組み
心因性発熱は、風邪と違い身体の中で
炎症反応が起こっているわけではありませんので、
普通の解熱剤は効果がありません。
また、ストレスが原因であることはわかっていても、
今まではその詳細なメカニズムが解明されておらず、
有効な治療薬もありませんでした。
そんな中、
京都大学の研究グループが長期間のストレスを受けると、
体温の高い状態が続く神経メカニズムの一端を解明しました。
これは、上記の心因性発熱の
2つめのタイプのメカニズムですね。
研究グループは、
ストレスで心因性発熱を発症したラットで実験したところ、
脳内の延髄と視床下部の特定の部分にある
神経細胞の働きを抑制すると、
熱を産生する褐色脂肪組織の温度が上がらず、
体温上昇も起こらなかったという結果を得られました。
この実験結果から、ストレスの信号は
視床下部から延髄へと神経伝達され、
交感神経を経て褐色脂肪細胞で熱の産生を促し、
体温を上昇させていることがわかったのです。
研究グループは、視床下部の神経を抑える薬剤を開発すれば、
心因性発熱の治療薬として期待できるのではと述べています。
心因性発熱が起こったら?
心因性発熱の研究は進んでいますが、
現在のところは解熱のための効果的な薬剤はありません。
心因性発熱が起こったら、
とにかくストレスを緩和させるようにしましょう。
すべてのストレスを取り除くことは難しいですが、
こまめに休憩を取ったり、リラックスタイムや
1日の中で自分の好きなことをする時間を作ったり、
好きなものを食べるなどストレスを少なくすること、
ストレスを緩和させることは可能です。
それでも、熱が下がらないようであれば、
医療機関を受診しましょう。
心因性発熱の解熱剤はありませんが、
精神安定剤等でストレス緩和を図り、
解熱させる治療法があります。
でも、一番大切なのは心因性発熱を発症しないことです。
日常生活の中で無理をしていませんか?
頑張りすぎていませんか?
その状態が続くと、心因性発熱が起こってしまいます。
ふと疲れを感じたら、しっかり休息をとって、
ストレス解消するようにしましょう。