糖尿病の新しい治療薬であるSGLT2阻害薬。そのメリットとデメリットを知りましょう。
糖尿病の治療薬の種類
厚生労働省の平成24年国民健康・栄養調査によると、
日本の糖尿病患者は950万人、
糖尿病予備軍は1100万人にも上り、
糖尿病は日本の国民病と言えます。
糖尿病の治療は、
食事療法と運動療法、薬物療法の3種類があります。
糖尿病の初期のうちは、
食事療法と運動療法で十分に治療可能ですが、
進行すると薬物療法を取り入れなければいけません。
糖尿病の薬物療法というと、
インスリンの自己注射が思い浮かぶと思いますが、
内服薬を用いて血糖値をコントロールする方法もあります。
糖尿病の内服薬は、
インスリンの抵抗性を改善するものと
インスリンの分泌を促すもの、
食後の高血糖を改善するもの
主に3タイプに分けられます。
どのタイプの薬を用いるかは、
食後の血糖が高くなりやすかどうかや
膵臓にインスリンの分泌能力が残っているかなどによって
異なります。
内服薬を服用するときは、
食事量や食事時間をきっちり守らないと、
低血糖を起こす可能性がありますので、
医師の指示を守って服用するようにしましょう。
新薬SGLT2阻害薬とは?
2014年4月から糖尿病の治療薬に
新しいタイプのものが加わりました。
それは、SGLT2阻害薬と呼ばれるものです。
SGLT2とは、腎臓の近位尿細管での
糖の再吸収に大きく関わっている輸送体です。
SGLT2が働けば働くほど、腎臓での糖の再吸収が促され、
糖が血液内に戻りますので、血糖値が高くなるのです。
SGLT2 阻害薬は、このSGLT2の働きを邪魔して、
近位尿細管での糖の再吸収を抑制し、
糖を尿一緒に体外へ排出させて、
血糖をコントロールしようとするものです。
今までの糖尿病治療薬は、「インスリンの分泌を促す」、
「インスリンの抵抗性を高める」などインスリンに働きかけたり、
インスリンを助けるものでしたが、このSGLT2阻害薬は、
インスリンとは全く関係なく血糖値を下げる働きがあリますので、
今までの糖尿病治療の常識を覆した内服薬と言えるでしょう。
また、糖を積極的に排出することで、
体重減少も見込めることも、SGLT2阻害薬のメリットです。
SGLT2阻害薬の注意点
今年に入って、一気に注目が集まり、
各製薬会社から発売される用になったSGLT2阻害薬ですが、
副作用がないわけではありません。
日本糖尿病学会によると、低血糖や脳梗塞、
全身の発疹などの副作用の報告があるそうです。
低血糖は血糖降下剤を服用する限り、
どうしても避けられない副作用の一つです。
また、発疹は「薬疹」と呼ばれるアレルギー症状でしょう。
この副作用の中で特筆すべきは脳梗塞です。
SGLT2阻害薬は、尿と一緒に糖を排泄する作用がありますので、
尿量が増えるんです。
尿量が増えると、体内の水分が不足してしまい、
血液がドロドロになって血栓ができやすくなり、
その血栓が脳の血管に詰まってしまうと考えられます。
もともと糖尿病になると、
動脈硬化が進み脳卒中のリスクが高まっていますので、
健康な人よりも脳梗塞になりやすいんです。
SGLT2阻害薬を服用しつつも、脳梗塞を予防するには、
意識的に水分補給を心がけることです。
また、医師の指示をしっかり守って
服用するようにしましょう。