胃がんの原因になるピロリ菌。ピロリ菌対策について知りましょう。
胃がんの原因は90%がピロリ菌
胃がんは日本人に多いがんで、
部位別のがんの死亡率で胃がんは2位になっています。
胃がんの原因の90%以上は、
ピロリ菌と言われています。
ピロリ菌は胃の中に生息する細菌で、
胃がんだけでなく
胃潰瘍や胃炎の原因になることがわかっています。
日本人の50歳以上は約8割がピロリ菌に感染しているんです。
WHOによると、
ピロリ菌はタバコ並みの強い発がん性を持っていて、
ピロリ菌に感染していると、
年間0.4%の確率で胃がんを発症するとされています。
また、胃がんの患者さんの中でピロリ菌に感染していない人は
約1%と推計されていますので、ピロリ菌に感染しなければ、
胃がんのリスクはとても低いことになります。
ピロリ菌を除去する方法
胃がんを予防するためには、ピロリ菌に感染しないこと、
またはピロリ菌に感染してていたら
除去することが大切になります。
ピロリ菌の感染経路は、
まだ完全には解明されていませんが、
子どもの頃に汚染された水や食べ物、
唾液などから感染すると予想されています。
子どもの頃に感染するのであれば、
なかなか感染を予防するのは難しいですよね。
次に、ピロリ菌を除去する方法です。
ピロリ菌を除去するには、
2種類の抗菌薬と胃酸の分泌を抑制する薬を1日2回、
7日間飲み続けます。
ただ、この治療をしても、
100%ピロリ菌を除去できるわけではなく、
75%程度しか完全にピロリ菌を除去することはできません。
もし、この方法でピロリ菌を除去できなければ、
薬の種類を変えて、再度1日2回7日間の服薬を行います。
指示通りにきちんと服薬することができれば、
2回目の治療を終えた時点で
95%がピロリ菌を除去することができます。
もし、服薬を忘れるなど指示通りに服薬できない場合、
抗菌薬に体制を持つピロリ菌が出現する可能性があり、
今後の除去が非常に難しくなります。
将来はワクチンでピロリ菌を予防?
現段階では、ピロリ菌の除去は可能ですが、
予防することはできません。
でも、胃がんの原因の90%がピロリ菌であれば、
できるだけピロリ菌に感染したくないですよね。
近い将来、ピロリ菌はワクチンで
予防できるようになるかもしれません。
イギリスの医学誌ランセットに発表された
中国食品医薬品検定研究院の研究で、
6歳から15歳の子どもを対象に
ピロリ菌のワクチンを飲むグループと
プラセボ(偽薬)ワクチンを飲むグループの2つを作って
ピロリ菌の予防効果を調べたところ、
ピロリ菌のワクチンを飲んだグループでは
ピロリ菌の予防効果が認められたことがわかったんです。
しかも、この研究での副作用はピロリ菌ワクチンと
プラセボワクチンのグループを比較しても同程度で、
ピロリ菌ワクチンと副作用の因果関係は
認められなかったとのことです。
飲むタイプのワクチンでピロリ菌感染を予防することができ、
さらに副作用が少ないのであれば、
将来ピロリ菌に感染している人はごく少数となり、
胃がんを発症する人も大幅に減少するかもしれませんね。