日々進化するがん研究。がん治療の最前線は、どこまで進んでいるかご存知ですか?
進むがん治療の研究
1981年以来、日本人の死因トップであるがんは、
治療や予防のための研究が日々進んでいます。
2013年6月下旬には、がん研究に関する
新たな研究結果が2つ発表されました。
1つは、福岡大学の高野教授らによる研究で、
末期がんにおこる「神経障害性疼痛」の痛みの原因物質が
「CCL-1」というたんぱく質であることが解明されました。
この末期がんの激痛「神経障害性疼痛」は、
通常の痛み止めやモルヒネが効きにくいため、
原因物質が解明されたことで、
痛みを緩和させる薬剤の開発が期待されています。
2つ目が、京都大学大学院の真田助教ら研究で、
腎臓がんの全体像が解明されました。
腎臓がんは、VHLという遺伝子に異常が起こることは
わかっていましたが、ゲノム解析により、
腎臓がんの遺伝子異常の全体像がわかったことで、
腎臓がんの新たな治療法の開発が進むと
考えられています。
最新のがん治療とは
最新のがんの治療法といえば、先進医療です。
先進医療とは、一般的な医療の水準を超えた
最新の先進技術を用いた治療法のことで、
厚生労働大臣の承認は得ていますが、
健康保険は適用されません。
現在、がん治療の先進医療は、
「陽子線治療」と「重粒子線治療」が
主流になっています。
どちらも、
放射線療法の延長線上にある治療法です。
従来の放射線治療は、がん細胞だけでなく、
周囲の正常な細胞や組織も放射線で
攻撃してしまうため、体への負担が大きく、
副作用に苦しむ患者さんも多かったのですが、
この陽子線治療や重粒子線治療は、
放射線よりもがん組織に集中して
陽子線や重粒子線を照射できるため、
体への負担は少なく、
通院治療も可能であることが特徴です。
ただ、上記でも述べているように、
保険適用外の治療となっていますので、
先進医療にか関わる部分は全て自己負担になります。
がんの第4の治療法=免疫療法
がんの治療法といえば、手術療法、放射線療法、
化学療法(抗がん剤治療)の3つでしたが、
最近注目を集めているのが、免疫療法です。
免疫療法とは、体の免疫力を上げて、
がん細胞を消滅させるだけでなく、
リンパ球などの免疫細胞にがん細胞を
「異物」として認識させ、
ピンポイントにがん細胞を攻撃して、
がん細胞を消滅させる治療法です。
体の免疫力を上げるだけの免疫療法は、
1960年代から行われてきましたが、
がん細胞へのピンポイント攻撃の技術が開発された
2000年以降、免疫療法は注目を集め、
手術療法、放射線療法、化学療法に続く
第4のがん治療法と言われるようになりました。
免疫療法は、放射線療法や化学療法と違い、
副作用もほとんどありませんので、
患者さんの身体的・精神的な負担が少ないという
メリットがあります。
今後もがん治療や予防に関する研究や開発は、
さらに進んでいきますので、
「がんは怖くない」という時代がもうすぐ
来るかもしれませんね。