血液のがんである白血病。白血病はどのような病気か知っていますか?
白血病治療に朗報?
東京大医科学研究所の中内教授や山本特任研究員らの
遺伝子操作マウスを使った実験によると、
血液の成分である赤血球や白血球の前身である
前駆細胞にも増殖能力があることがわかりました。
実験では増殖するとともに血小板だけに変わるタイプ、
赤血球と血小板に変わるタイプ、赤血球と血小板、
白血球の一種である顆粒球に変わるタイプの
3種類が発見されたそうです。
中内教授は、
「生物学や医学の教科書を書き換える成果で、
再生医療や白血病などの難病治療にも有効」
と述べています。
今回の実験により、血液のがんであり、
年間10万人に約6人が発症する白血病の
新たな治療法が確立されるかもしれませんね。
白血病ってどんな病気?
白血病は、血液のがんです。
血液の成分である血球は、骨髄内で作られますが、
白血病は、血球の素である幹細胞が
骨髄内でがん化して、どんどん増殖し続ける病気です。
通常、血球細胞はある一定期間で死滅する
計画細胞死というメカニズムが備わっています。
赤血球は120日間、白血球の一種である好中球は数時間、
血小板は数日間で死滅し、その分、
どんどん新しいものが生まれてくるため、
血球細胞は一定量を保っているのです。
しかし、幹細胞ががん化してしまうと、
この計画細胞死というメカニズムが備わっていないため、
血液内で血球細胞がどんどん増えてしまうことになります。
これが、白血病です。
がん化した血球細胞が増えると、
正常な血球細胞が減少しますので、
正常な白血球が減ると免疫力が下がり、感染しやすくなる、
赤血球が減ると極度の貧血状態になる、
血小板が減ると出血傾向になるなどの症状が現れる他、
増えすぎた血球細胞が血管から皮膚や神経、
各臓器に侵入して、異常をもたらすこともあります。
白血病の治療と予後
白血病は血液のがんですので、主な治療法は、
抗がん剤を用いた化学療法になります。
また、白血病の治療をいうと
骨髄移植(造血幹細胞移植療法)が有名ですが、
骨髄移植は治療そのもので死亡したり、
治療がかなり過酷なものとなりますので、
化学療法を行い、その成果を見て、
骨髄移植を行うかどうかが検討されます。
現時点で、白血病の寛解率は6~8割程度で
あまり治療成績は良いものではありません。
また、小児は95%以上が寛解するのに対し、
高齢者の場合は60%程度と
年代による差が大きいことや
白血病治療の専門病院と一般病院では、
治療成績に開きがあるという特徴があります。
白血病は一度寛解しても再発しやすく、
5年生存率は35%とかなり低いですので、
上記のような白血病治療に役立つ研究が
どんどん進んでいくことに期待したいですね。