イギリスでBSE由来のヤコブ病が拡大?ヤコブ病と日本のBSE対策について知りましょう。
イギリスでBSE由来の疾患のが感染拡大?
日本でも牛海綿状脳症(BSE)が、
2001年に社会問題になりましたが、
イギリスでは最大3万人がBSEとの関係が指摘される
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に
感染している疑いがあることがわかりました。
イギリスでは、
これまでにヤコブ病の感染が確認されたのは177人ですが、
イギリス神経病理学研究所の調査によると、
3万2441人中16人からヤコブ病の陽性反応が
出たとのことです。
これは、イギリスの人口で換算すると2000人に1人、
約3万人が未発症ながらヤコブ病に感染している
計算になります。
ヤコブ病の恐ろしいところは、
血液検査では検出できない点です。
血液検査で検出できないということは、
未発症の感染者が献血をすれば、
献血・輸血を通じて感染が拡大する危険があります。
そのため、イギリスの感染症専門家は、
ヤコブ病は今後も感染が拡大し、
発症者が出る可能性があり、
感染予防の措置を講じる必要があると述べています。
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病とは?
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病とは、
どんな病気でしょう?
そもそも、
BSEとは牛で感染が確認されている伝達性海綿状脳症で
BSEに感染した牛の危険部位を食べることで、
人間が変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に感染します。
日本では、ほかの原因による
クロイツフェルト・ヤコブ病の患者さんは
平成20年の時点で375人いますが、
BSE由来の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者さんは
現在のところ確認されていません。
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病にかかると、
行動異常や性格の変化、
認知症、歩行障害などの症状が現われ、
発症後半年以内には寝たきりになり、
発症後1~2年以内に死に至り、
現在のところ有効な治療法はありません。
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の予防対策
日本国内では、
BSEによる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染は
確認されていませんが、
2001年にはBSEに感染した牛が発見されています。
BSEに感染した牛の頭部(脳や眼球)や
脊髄などの特定危険部位を食べると、
ヤコブ病に感染する危険があるため、
日本国内でもBSE対策が行われています。
1つ目は、飼料規制です。
BSEの感染源は、感染牛を原料とした
肉骨粉だと考えられていますので、
肉骨粉を飼料として使うことが法律で禁じられています。
2つ目は、特定危険部位の除去です。
BSEの発症原因である異常プリオンは、
99%以上が脳や脊髄など特定部位に集中しますので、
全頭検査を行い、
きちんと除去されたかを確認しています。
3つ目が、BSE検査です。
BSE検査の始まった2001年から2013年3月末までに、
このBSE検査で21頭の感染牛が発見され、
処分されています。
このように日本国内では、
厳しいBSE対策が行われていますし、日本ではBSE問題は
過去の出来事という認識が広がっていますが、
イギリスでは変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は、
まだまだ感染拡大の可能性があるため、
安心はできませんね。