ウイルスが原因のガン、成人T細胞白血病リンパ腫について知りましょう。
成人T細胞白血病リンパ腫とは?
成人T細胞白血病リンパ腫という病気をご存知ですか?
病名のとおり、白血病や悪性リンパ腫の一種、
つまりガンです。
この成人T細胞白血病リンパ腫は、
1977年に初めて発見された比較的新しい病気で、
京都大学の医師らによって報告されました。
成人T細胞白血病リンパ腫が普通の白血病や
悪性リンパ腫と異なる点は、
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)によって
引き起こされるという点です。
つまり、成人T細胞白血病リンパ腫は、
子宮頸がんと同じように感染症のガンであると言えます。
成人T細胞白血病リンパ腫は、
病名からもわかるように成人が発症する病気で、
40歳以降特に60~70代での発症が多くなっています。
この病気は、リンパ節の腫れや肝臓・脾臓の腫れ、
血中のカルシウム値の上昇に伴う意識障害や
不整脈などの症状が現れ、
さらにリンパや血液に乗ってHTLV-1が
全身の臓器に広がっていき、免疫不全を起こします。
成人T細胞白血病リンパ腫の予後は非常に悪く、
完全寛解率は16~41%で、
発症後の生存期間はおおよそ1年未満となっています。
成人T細胞白血病リンパ腫の感染経路
成人T細胞白血病はHTLV-1が原因の感染症で、
現在日本には約100万人もの感染者がいると言われていて、
九州地方に感染者が多いというデータがあります。
成人T細胞白血病の感染経路は母子感染、、
輸血による感染、性交渉による感染の3通りあります。
母子感染は、
母親が感染者の場合母乳を通して子供にHTLV-1が感染し、
感染者の5%が発症します。
しかし、現在は妊婦健診で
HTLV-1のキャリアかどうかを検査し、
母親が感染していると判明した場合は、
人工栄養(粉ミルク)での育児を推奨していますので、
母子感染は減少しています。
次に輸血による感染ですが、
現在は献血時の検査を徹底していますので、
現在は輸血によるHTLV-1の感染のリスクは
ほぼゼロであると考えられてます。
最後に性交渉による感染です。
性交渉による感染は、
男性の精子中のHTLV-1が原因で感染しますので、
男性から女性に感染するのみで、
女性から男性への感染はありません。
また、性交渉での感染の場合、
発症は非常に稀であると言われています。
増加する性交渉での感染
母子感染は人工栄養で予防できる、
輸血の感染も献血時の検査で予防できる、
性交渉による感染はコンドームの使用で予防できますので
成人T細胞白血病リンパ腫は
減少傾向にあると思いますよね。
でも、成人T細胞白血病リンパ腫での死亡者数は
年間1000人程度で、ここ15年ほど変わっていません。
また、日赤中央研究所の調べで、
性交渉によるHTLV-1の感染者は
年間3000人~4000人いると推測されています。
性交渉で男性から女性へ感染が広がると、
母親から子供への母子感染の可能性も大きくなります。
性交渉による感染からの発症は
非常に少ないと言われていますし、
母子感染も人工栄養で予防できますが、
成人T細胞白血病リンパ腫は発症すれば
予後不良で恐ろしい病気です。
HTLV-1への感染は少し気をつけば予防できますし、
自分が感染しているかどうかは血液検査をすれば、
すぐにわかります。
自分の身を守るためにも、
パートナーや将来生まれてくる子供を守るためにも、
一度血液検査をしてみてはいかがですか?