近い将来がんは完治が当たり前?がんの最新治療法を知りましょう。
増えるがん患者
がんは日本人の死亡原因の第1位です。
がんにかかる人は2人に1人、
がんで亡くなる人は3人に1人とされています。
国立がん研究センターの調査によると、
2015年に新たにがんと診断される人は、
男性が56万300人、女性が42万1800人の合計98万2100人で
2014年よりも約10万人多いと予想されています。
また、部位別に見ると2014年には
第3位だった大腸がんが13万5800人と最も多く、
それに肺がん、胃がんが続いています。
これだけ医療が発達し、
さらにがん検診の必要であることの認識も広まり、
さらにがんを予防する生活習慣も解明されているのに、
それでもがんにかかる人は増えるんですね。
ただ、がん患者が増えている最大の理由は、
高齢者が増えているためと考えられているので、
個人単位で見るとがんになるリスクが
高くなっているわけではないようです。
がん細胞を死滅させるウイルス
それでも、がんになる人が増えていることは事実ですが、
がんの治療は日々進化しています。
がんの治療法は、手術療法と化学療法、
放射線療法の3つが柱となっていますが、
新しい治療法の研究が進んでいるんです。
最新のがん治療法の1つ目は
ウイルスを使った治療法です。
「ウイルス」というと、
感染症の原因となる人体に悪いもの
というイメージがありますよね。
でも、鹿児島大学の研究でがん細胞の中で活発に働く
「サバイビン」という遺伝子を利用して
増殖するようにウイルスを改変し、
がん細胞の中だけで増殖してがんを死滅させるウイルスが
作製されたんです。
鹿児島大学によると、
本年度から実際に患者に投与して安全性と効果を確かめる
臨床試験を開始し、2020年度の実用化を目指すそうです。
がん細胞だけに特異的に働き、
正常な細胞には何の影響も与えなければ、副作用もなく、
痛みも少ないがん治療法になるかもしれませんね。
近赤外線でがん治療
がんの最新治療法の2つ目は、近赤外線を用いた治療です。
近赤外線とは、太陽光の50%を占める光で、
肌の奥深くまで届くため、
紫外線よりも肌に悪影響を及ぼすと言われています。
でも、この「肌の奥深くまで届く」という性質を利用して、
がん治療に応用させようという研究が進んでいるんです。
アメリカの国立保健研究所では、
この近赤外線を浴びると熱を出す特殊な化学物質を
がん細胞の表面に結びつけ、
がん細胞を狙い打ちしてがん細胞を死滅させるという研究が行われ、
近いうちに患者さんに実際に治療を施す臨床試験が
行われる予定です。
マウス実験では、この治療法で8割もがんが完治したとのことです。
近赤外線なら放射線ほどの副作用はありませんし、
がん細胞を狙い打ちできれば、副作用はさらに小さくなるはずです。
近い将来、がん治療は痛みも副作用もほとんどなく、
完治するのが当たり前という時代が来るかもしれませんね。