臍帯血って何?臍帯血のメリットや保存について知りましょう。
臍帯血って何?
臍帯血って聞いたことがありますか?
「臍帯」とはお母さんと赤ちゃんをつなぐへその緒のことです。
そして、臍帯血はへその緒の中にある血液です。
臍帯は長さが約50~60センチ、太さは直径2センチほどですが、
その中には動脈が2本、静脈が1本通っていて、
その中を血液が流れています。
1980年代前半に、
臍帯血には造血幹細胞がたっぷり含まれていることがわかり、
それ以降臍帯血を活かした治療法の研究が盛んに行われ、
それまで治療が困難とされてきた病気の治療に
役立っているんです。
臍帯血は、出産時に赤ちゃんと
へその緒を切り離してから採取されて、
液体窒素で冷凍保存されます。
臍帯血で治せる病気
臍帯血で治せる病気は、難治性の血液疾患です。
具体的には、急性リンパ性白血病や急性骨髄性白血病、
悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、再生不良性貧血、
サラセミアの病気です。
これらの病気は治療が困難で、
治療には造血幹細胞移植が必要なことが多いのですが、
従来、造血幹細胞移植のためには骨髄移植が必要でした。
でも、骨髄移植はドナーの負担が大きいですし、
白血球の血液型と言われるHLAの型が一致しないと
移植ができませんでした。
HLAの型が一致するのは、兄弟姉妹で25%、
非親族だと数百から数万分の1の確率になってしまいます。
でも、臍帯血は出産時に赤ちゃんから切り離した後に
臍帯から採取して冷凍保存するだけですので、
赤ちゃんにも母体にも負担はかかりません。
また、臍帯血移植の場合、
基本的にHLAの型が一致したものを移植しますが、
緊急時は不一致でも移植が可能ですので、
移植の可能性がとても高いんです。
臍帯血は造血幹細胞をたくさん含んでいて
難治性血液疾患を治療でき、さらに採取の負担がなく、
移植できる幅が広がるというメリットがあるんです。
目的別で保存バンクを選択
臍帯血を採取して保存するには、
専門の保存バンクを利用する必要があります。
臍帯血の保存バンクには2種類ありますので、
臍帯血を採取する目的によって使い分けなければいけません。
まず1つ目は、将来赤ちゃんが白血病など
臍帯血での治療が必要になった場合に、
自分自身のために自分の臍帯血を使うケースです。
これは私的保存と呼ばれています。
自分とお母さんをつないでいた臍帯血を使えば、
拒絶反応は一切なし、
ドナーを探す必要もなしというメリットがあります。
これは、臍帯血保存を行っている民間のバンクに
臍帯血の保存を依頼することになり、
費用は20年の保存で30万円前後となっています。
ただ、問題点は臍帯血を保存しておいても、
実際に使用できる臍帯血内の細胞数が足りないこともある
というケースもあり得ることです。
お金を出して保存しておいても、
実際に必要な時に役に立たなかったという可能性が
ゼロではないのです。
2つ目は、臍帯血を自分自身ではなく
難治性の血液疾患に苦しんでる患者さんに提供するケースです。
これは、公的保存と呼ばれています。
臍帯血を保存するにしても、
どちらの目的で採取・保存するかによって、
保存する臍帯血バンクは違ってきます。
もし、今妊娠していて臍帯血に興味がある人は、
産婦人科の主治医に臍帯血について尋ねてみると良いでしょう。