日本でも細菌性赤痢に感染するって本当?細菌性赤痢について知りましょう。
日本でも細菌性赤痢が?
「赤痢」という感染症は、
皆さん一度は耳にしたことがあると思います。
でも、赤痢は自分とはあまり縁がない病気、
普通に生活していれば感染リスクは低い病気だと
思っている人が多いと思います。
確かに赤痢は現代の日本ではあまり馴染みのない感染症です。
でも、日本でも戦後しばらくは
細菌性赤痢の患者数は10万人を超えて、
死者は2万人近くもいたんです。
その後1960年代半ばから細菌性赤痢の患者数は減少し、
近年では東南アジアや南アジアなど海外の渡航先で感染し、
日本で発症する人が多くなっています。
でも、現代の日本国内でも感染するリスクはあります。
北海道の渡島地方で海外渡航歴のない小学生を含む3名が
細菌性赤痢に感染したことがわかりました。
海外渡航歴がない人がなぜ
細菌性赤痢に感染したのかはまだ解明されておらず、
保健所では感染経路の特定を急いでいます。
細菌性赤痢とは?
細菌性赤痢は赤痢菌が原因の感染症で、
感染症法で2類感染症に指定されている感染症です。
感染経路は経口感染で、人から人へ、
感染者や保菌者の糞便や汚染された手指、食品、
水や氷、ハエ、食器類などを通じて感染します。
赤痢菌に感染すると、1~5日間の潜伏期間を経て、
下痢や発熱、腹痛などの症状が現れます。
赤痢菌には4種類あり、
もっとも毒性の強い志賀赤痢菌に感染した場合、
腸内の出血からの血便が見られ、
しぶり腹が現れることもあります。
志賀赤痢菌以外の3種類の場合は、それほど重症化せず、
血便が見られることはほとんどありません。
もっとも毒性の弱いソンネ菌の場合は
軟便や微熱程度で済んでしまうこともありますので、
細菌性赤痢といっても症状の強さは
どの菌に感染したかで変わってくるのです。
細菌性赤痢の治療と予防法
細菌性赤痢に感染したら、
赤痢菌に有効な抗菌薬を5日間内服します。
整腸薬を併用することはありますが、下痢止めを使うと、
体内に赤痢菌が残って悪化する原因となりますので、
下痢止め薬は治療に用いることはありません。
また、重症になると、点滴で補液し、
脱水になるのを防ぐ必要があります。
細菌性赤痢の予防についてですが、
赤痢に有効なワクチンはありませんので、
日常生活内で赤痢菌に感染しないように気をつける必要があります。
日本が1960年代以降急速に赤痢患者が減少したのは、
衛生環境が良くなったためです。
つまり、清潔を保ち、手洗いうがいをしっかり行うことが、
細菌性赤痢の予防につながります。
東南アジアやインドなど衛生面で不安がある国に旅行した場合は、
生水や生ものを避けるようにしましょう。
また、日本でも1998年に井戸水が原因の
細菌性赤痢の集団感染が発生していますので、
日本でも井戸水をそのまま口にするのは避けてください。
細菌性赤痢はきちんと治療を受ければ
死に至ることはほぼありませんが、
日本でも感染する可能性があることと
予防には清潔を保つことが重要であることを知っておきましょう。