飽食のツケ?もはや“ぜいたく病”ではない『痛風』が、20~30代で急増中。
中年男性に多かった痛風が、若年層や女性にも
「痛風で足の親指が腫れちゃって」
「じゃあ、当分ビールはおあずけだな」なんていう会話は
中高年男性の“専売特許”という感がありましたが、
今や痛風は、年代・性別を問わず、
誰しもが発症しうる病気となりつつあります。
痛風は高たんぱく・高カロリー食が原因とされ、
そもそも、昔々は富裕層のみに見られる「ぜいたく病」と
考えられていました。
一部のお金持ちにしか美食が許されない時代から比べ、
現代は食生活が飛躍的に向上しましたが、その弊害の一つとして
痛風はごく一般的な病気として増え続けています。
今や、男性患者の3割を30代が占め、また、
閉経後にしか痛風にかからないと言われていた女性も、
若い世代に発症することが稀ではなくなってきました。
ある日突然、激しい痛みに襲われる
『痛風』という病名の由来は、
「風が当たっただけでも痛いから」とする説や、
「風が吹いたり止んだりするかのように痛みが出現しては消えたり
移動したりするから」とする説があります。
いずれの由来も痛みが強調されているだけあって、
痛風を発症すると今までに経験のない痛みを覚え、
その痛みは骨折以上とも言われます。
一番症状が出やすいのは、足の親指つけ根の関節です。
繰り返し発症している人は、足先がピリピリするなどの前兆で、
痛風発作が起きると気付くようになると言いますが、
経験のない人は、前触れもなしに患部が赤く腫れ、
身動きがとれないほどの痛みに襲われてうろたえてしまいます。
1週間から10日ほどで次第に痛みと腫れが治まり、
何事もなかったかのように無症状になりますが、
治療や対策を行わずにいれば、
半年後、1年後に同様の発作が起こります。
それを何度も繰り返しているうち、足の親指だけでなく
足首や膝などあらゆる関節に症状が出始め、
発作の感覚も短くなっていくのです。
食の見直しで原因物質「尿酸」を増やさない生活を
痛風の痛みの正体は「尿酸」です。
暴飲暴食、肥満などから血液中の尿酸が増える「高尿酸血症」
になり、その状態が続くと尿酸塩という結晶ができて
関節に溜まります。
それを、防御反応として白血球が攻撃し、
痛みを誘発するのです。
尿酸は、プリン体という成分が代謝されてできるため、
プリン体を含むビールが痛風の原因かのように思われていますが
肉、レバー、魚、魚卵、などの様々な食品、野菜や米にさえも、
プリン体は含まれています。
尿酸値の上がる原因としては、プリン体の摂取過多の他に、
肥満、飲酒、過度のストレスなどが考えられます。
また、水分摂取量が少ないと、尿酸が結晶化しやすくなります。
これまで中高年男性に痛風が多かったのは、
長年にわたる飲酒や美食などの積み重ねによるもので、
また、女性ホルモン(エストロゲン)が尿酸の排泄を促すため、
女性は閉経するまではかかりにくかったのです。
しかし近年は食生活の変化により、
若年層や女性にも痛風患者が増えてきました。
痛風対策には、過食・偏食を避け、
適量の飲酒を心がけるのが一番です。
そして、何かとストレスの多い社会ではありますが、
決して暴飲暴食に走らず、
身体を動かすことで発散しましょう。
但し、運動をする際は充分な水分補給を欠かさずに。