耳鳴りの原因は、耳ではなく脳だった!耳鳴りって、どんな病気なのでしょう?
耳鳴りとは
耳鳴りとは、実際には音がしていないのに、
自分にだけ音が聞こえているように感じる状態のことです。
耳鳴りに悩む患者数は、正確な統計は出ていませんが、
300人に1人と言われています。
また、65歳以上の高齢者に限定すると、
耳鳴りの経験がある人は、
約3割にも上るという報告もあるため、
耳鳴りは誰でもなる可能性のある身近な病気と
言えるでしょう。
耳鳴りは、自覚的耳鳴と他覚的耳鳴に分類できます。
自覚的耳鳴とは、
患者さん本人にしか聞こえない耳鳴りのことです。
他覚的耳鳴は、聴診器のようなものを当てれば、
外部からでも聞くことができる耳鳴りのことです。
他覚的耳鳴は、自覚的耳鳴りとは異なり、
何らかの原因で患者さんの体内で
実際に音が発生していて、
患者さんにだけ音が聞こえている状態のことですね。
この他覚的耳鳴の原因は、
体に何らかの異常が起こっていることです。
耳管周辺の筋肉が痙攣を起こしていたり、
耳周辺の大きな動脈や静脈が病的に拍動していること
などが原因として挙げられます。
他覚的耳鳴の原因は、
検査をすれば判明するものが多いのですが、
自覚的耳鳴の場合、
メニエール病や突発性難聴などの症状のひとつ
としての耳鳴り以外は、
原因不明であることが多いんです。
自覚的耳鳴の原因が解明?
和歌山県立医科大学の共同研究グループの研究によると
原因不明の自覚的耳鳴の原因が脳にあることが判明しました。
2011年に重度の耳鳴りに悩む患者24人に対して
MRI検査を実施したところ、
重症患者ほど脳の特定部位のネットワークに異常があり、
耳鳴りの音は聴覚とは関係なく
脳で作り出されていることを突き止めたのです。
また、耳鳴りの強さは、脳の中心部に位置する
「尾状核」や記憶などに関わる「海馬」とが関係していて、
耳鳴りの不快感は前頭葉が関わっていることも判明したので
耳鳴りは治せなくても、耳鳴りの不快感は
取り除ける可能性があるということです。
耳鳴りの治療法
耳鳴りの治療法は、他覚的耳鳴やメニエール病などのように、
耳鳴りの原因が判明しているものであれば、
その原因を治療することで、耳鳴りの症状が治まるのですが、
原因不明の耳鳴りの場合、根本的な治療法はなく、
内耳への血流を改善する薬剤や漢方薬、
精神安定剤を用いるなどの対症療法しかありません。
耳鳴りがずっと継続することは、精神的な負担が大きく、
うつ病を発症したり、自殺に至るケースもあります。
上記の和歌山県立医科大学の研究結果は、
原因不明の耳鳴りに悩む患者さんにとっては、
朗報であり、耳鳴りから解放される可能性が見えてきた
と言えるでしょう。
今後、この研究結果を基に、
さらに耳鳴りに関する研究が進めば、
現時点では原因不明の耳鳴りが治療可能になるかもしれません。