女性に多い病気、「下肢静脈瘤」について知りましょう。早期発見が大切です
下肢静脈瘤って何?
下肢静脈瘤は、
下肢(特にふくらはぎ、膝裏、足の付け根など)の
静脈が拡張して、静脈の血流が滞ることで、
静脈がこぶのように膨らんでしまった状態のことです。
通常、静脈には
血液の逆流を防止するための弁がついているため、
下肢に送られた血液も重力に負けることなく、
心臓に戻ってくることができます。
しかし、静脈の逆流防止弁が壊れてしまうと、
重力に負けた血液が下肢に溜まって滞ってしまい、
静脈がこぶのように膨らんで、
皮膚表面まで浮き出てしまうのです。
静脈の逆流防止弁が壊れる原因には、
妊娠や出産、加齢のほかに、
立ち仕事で脚に負担をかけるなどがあります。
逆流防止弁は、膝裏や脚の付け根など
大きな静脈が合流する部分で壊れやすく、
弁が壊れると溜まった血液が静脈に圧をかけるため、
その部分の静脈は太く蛇行するようになります。
下肢静脈瘤の症状
下肢静脈瘤の初期症状は、血液が停滞することで、
だるさや痛み、むくみ、こむら返りなどが現れます。
しかし、初期の場合、全く自覚症状がなく、
脚の皮膚の表面に蛇行した静脈が浮き出てくることで、
治療を始める人も少なくありません。
病状が進行してくると、
皮膚が黒ずんでしまう色素沈着や潰瘍、
皮膚炎や湿疹などが現れ、
さらに血栓性静脈炎を併発することがあります。
血栓性静脈炎とは、
血液が静脈に停滞することで血栓ができ、
その血栓が原因で静脈に炎症が起こり、
静脈瘤に沿って、強い痛みが出たり、
赤く腫れたり、
静脈瘤が硬くなるなどの症状が出るものです。
下肢静脈瘤の治療法
下肢静脈瘤の治療法は、
今まではストリッピング手術が主流でした。
ストリッピング手術とは、
患部の静脈を抜去するというものです。
このストリッピング手術は、根治が可能ですが、
静脈周辺の神経を損傷する可能性もあるものでした。
ここ1~2年で新たに注目されるようになった治療法が
レーザー治療です。
このレーザー治療は、
今まで治療費が20万円以上かかっていましたが、
2011年に保険適用となったため、
自己負担金が少なくて済むようになりました。
レーザー治療は、膝周辺に小さな穴を開けて、
そこからカテーテルを患部まで届かせて、
患部にレーザーを照射して、静脈を閉塞させます。
このレーザー治療は、神経損傷のリスクもなく、
切開創も小さくて済むというメリットがあります。
ただ、このレーザー治療は
保険適用となったばかりですので、
治療を行っている病院は限られていますので、
注意して下さい。
下肢静脈瘤の予防法は?
成人女性の2~3人に1人は、
下肢静脈瘤になると言われています。
下肢静脈瘤は、上記のような症状が出る以外に、
皮膚表面に蛇行した静脈が浮き出てしまうので、
美容的な意味でも悩む人が多いんです。
下肢静脈瘤の予防法は、長時間の立ち仕事を避けること
着圧ソックスを履いて、下肢の血行を良くすること、
適度な運動をして脚の筋肉を使うこと、
ガードルなど血行を阻害するような下着は避ける
ことなどがあります。
また、お風呂上りなどに下肢の観察をしておけば、
早期発見につながり、手術のような治療をせずに
保存的治療を行うことも可能になります。
下肢静脈瘤は、女性に多い病気ですので、
特に女性は下肢静脈瘤の予防に努めましょう。