アルコール依存症は、専門的な治療と患者本人の強い意志、家族の協力が必要な病気です。
アルコール依存症とは?
厚生労働省の調査によると、
飲酒日60g以上(ビールなら中瓶3本、日本酒なら3合)
アルコールを摂取する多量飲酒の人は、全国で860万人、
その中でアルコール依存症の疑いのある人は440万人、
治療の必要なアルコール依存症の患者は80万人と
推計されています。
アルコール依存症とは、
「アルコールを飲まずにはいられない」、
強迫的にアルコールを摂取してしまう病気で、
一定期間アルコールを摂取しないと
離脱症状が見られるという特徴があります。
アルコール依存症の離脱症状には、
手の震えや動悸、発汗(寝汗)、悪寒、嘔吐、下痢、
睡眠障害、抑うつ、イライラ感などがありますが、
アルコール依存症が重症になると、
全身性の痙攣発作や幻聴、せん妄(幻覚)などが現れます。
アルコール依存症の治療
アルコール依存症は、
専門の医療機関での治療が必要となります。
日本でのアルコール依存症の治療は
入院しての治療が主流になっていて、
解毒治療(身体からアルコールを抜く)、
リハビリ治療(断酒のための治療)、
退院後のアフターケアという3段階に分けられています。
この3段階の治療は、スムーズに行われたとしても、
1年から1年半ほどかかり、
退院後のアフターケアに含まれる自助グループへの参加は、
もっと長く続けていく必要があります。
アルコール依存所の怖いところは、
断酒して離脱症状から解放されたとしても、
生涯断酒を続けていく必要があり、
1度でも飲酒してしまうと、
またアルコール依存症を再発してしまうことです。
「アルコールを飲みたい」という欲求を抑えることは、
アルコール依存症の患者にとっては
とても辛く大変なことです。
そのアルコールを飲みたい欲求を抑える新薬が開発され、
2013年5月から発売されています。
新薬は、脳の興奮性神経を抑えることで、
脳がアルコールを求めることを抑えるという作用があり、
断酒を続ける手助けになることが期待されています。
家族の協力が必要不可欠
アルコール依存症を治療するには、
家族の協力が必要不可欠となります。
なぜなら、上記でも述べているように、
アルコール依存症の患者は、断酒できた後でも、
1度アルコールを飲んでしまえば、
またすぐに再発してしまうからです。
アルコール依存症患者が断酒を続けることは非常に難しく、
1年以上断酒ができた人は、
わずか30%しかいないというデータもあります。
また、アルコール依存症の患者は、
「自分はアルコール依存症である」という認識がなく、
治療開始が遅れてしまいがちになります。
アルコール依存症は、ほかの病気と同様に
早期発見・早期治療が重要になりますので、
身近にいる家族が「アルコール依存症かもしれない。」、
「ちょっとお酒を飲みすぎなのでは?」と思った時点で、
病院に連れて行く必要があるのです。
アルコール依存症は、
「ただの酒好き」や「意思が弱いだけ」と
勘違いされることもありますが、正真正銘の病気であり、
自分の意思では治すことができず、
専門的な治療が必要となります。