少しずつメカニズムや原因が明らかになってきたアルツハイマー。日常でできる予防法とは?
アルツハイマーの原因は?
日本では高齢化が進み、認知症患者が急増しています。
認知症の中で、最も多いのがアルツハイマーです。
日本でのアルツハイマーの患者数は約200万人で、
30年後には倍増すると言われています。
そして、アルツハイマーの患者数が増えているのは、
日本だけではありません。
世界中でアルツハイマーの患者が急増しているのです。
世界のアルツハイマーの患者数は
2013年の時点で4400万人と推計されていますが、
2050年には1億2500万人に達すると予想されています。
以前は、
アルツハイマーの原因は解明されていませんでしたが、
近年になって研究が進み、
アルツハイマーの原因が徐々に判明してきています。
アルツハイマーの原因は、
「アミロイドβ」と「タウ」という物質です。
アミロイドβは、脳の神経細胞が活動すると
老廃物として出てくるたんぱく質の一種ですが、
神経細胞のシナプスを傷つけて、死滅させてしまうのです。
また、タウというたんぱく質も
アミロイドβと一緒にシナプスを攻撃し、
記憶中枢である海馬を萎縮させてしまいます。
アミロイドβはアルツハイマー発症の約25年前から、
タウは15年前から脳に蓄積し始めることがわかっています。
アルツハイマーの新しい診断方法
アルツハイマーかどうかを診断するには、
CTで脳の萎縮状態を見たり、採血を行ったり、
記憶力や認知能力のテストを行う必要がありましたが、
2015年には1滴の血液でアルツハイマーかどうかが
わかるようになるかもしれません。
愛知県の豊橋技術科学大学や
国立長寿医療研究センターなどの研究チームは、
半導体イメージセンサーを使って、
抗原抗体反応で生じるわずかな電気量の変化を読み取り、
血液1滴でアルツハイマーかどうかを
診断できる技術を開発しました。
これは、市販の簡単なキットで行えるため
自宅で検査可能で、検査結果が出るまで約10分、
費用も100円程度でできるとの見込みです。
研究チームは2015年の実用化を目指していて、
この技術を応用すれば、アルツハイマーだけでなく、
がんやノロウイルスへの応用も可能とのことです。
簡単にアルツハイマーの診断ができれば、
それだけ早く治療が開始でき、
症状の進行を遅らせることができますので、
早期の実用化が期待されています。
アルツハイマーを予防するには?
徐々にアルツハイマーのメカニズムが
解明されていますが、
まだ特効薬や予防薬は開発されていません。
そのため、日常生活でできる
アルツハイマーの予防法を実践していきましょう。
日常生活でできるアルツハイマー予防は、
「運動」と「話し相手を持つ」と
「生活習慣病にならない」です。
アメリカで行われた研究によると、
運動しているマウスはアルツハイマーの原因物質である
アミロイドβが蓄積しにくいことがわかっています。
また、ヨーロッパの調査では、運動している人は、
運動習慣がない人に比べてアルツハイマーの発症リスクは
3分の1との結果が出ています。
また、ヨーロッパでの調査で、
家族や友達が多く社会的接触が多い人に比べて、
乏しい人は認知症の発症率が
約8倍にも及ぶことがわかっていますし、
高血圧や高コレステロール、肥満などの生活習慣病の人は、
アルツハイマー発症のリスクが高くなっています。
適度な運動をして、
人とコミュニケーションを取って、脳を活性化し、
健康的な生活を送って生活習慣病を予防すれば、
アルツハイマー発症のリスクはグッと下がります。
特効薬や予防薬がないからこそ、
自分でできるアルツハイマー予防法を
実践していきましょう。