鉄欠乏性貧血には、重大な病気が隠されていることも?男性も要注意です
貧血の種類
血液中のヘモグロビン量が少なくなり、
「血液が薄い」状態を貧血と言います。
ヘモグロビンは酸素と結びついて、
全身に酸素を届ける役割がありますので、
貧血になると低酸素状態になり、倦怠感や息切れ、
蒼白などの症状が起こります。
貧血は、その原因によっていくつかの種類に分けられますが、
代表的なものは
鉄欠乏性貧血、悪性貧血、溶血性貧血、再生不良貧血の4つです。
鉄欠乏性貧血とは、
ヘモグロビンの構成要素でさる鉄分が不足することで、
ヘモグロビン量が減少する貧血です。
貧血の原因の中でも、この鉄欠乏性貧血が最も多く、
貧血全体の70~80%を占めています。
悪性貧血は、赤血球を造るのに必要な
ビタミンB12が不足することで起こる貧血で、
以前は原因不明で治療困難であったため、
「悪性貧血」と呼ばれるようになりましたが、
現在はビタミンB12を注射することで、
治療可能になっています。
溶血性貧血は、細菌感染やアレルギーなどが原因で
赤血球が破壊されてしまったり、
赤血球の寿命が短くなることで起こる貧血です。
再生不良貧血は造血幹細胞に異常が生じることで、
赤血球だけでなく全ての血球が少なくなってしまう病気で、
治療困難であるため厚生労働省から
特定疾患の指定を受けている難病です。
鉄欠乏性貧血は女性に多い
貧血の中で最も多い鉄欠乏性貧血ですが、
男性の0.5%、女性の12.7%が鉄欠乏性貧血と言われています。
女性に多い理由として、月経があることが挙げられます。
月経で毎月一定量の出血があるため、
女性は鉄分が不足しやすい傾向にあります。
また、女性は男性に比べてダイエットをする人が多く、
ダイエットによって栄養が偏り、
鉄分が不足してしまうという背景もあります。
このほか、子宮筋腫や子宮内膜症などで
月経の出血量が増えることでも鉄欠乏性貧血になります。
男性の鉄欠乏性貧血は重大な病気が原因?
女性に多い鉄欠乏性貧血ですが、
男性が鉄欠乏性貧血になった場合、
何らかの病気が原因で鉄欠乏性貧血になったことが
考えられます。
鉄欠乏性貧血が起こる病気には、消化管出血があります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍などで消化管から出血があると、
そこから鉄分が失われていきますので、
鉄欠乏性貧血になるのです。
場合によっては、
大腸がんなど重大な病気が隠されていることもあります。
鉄欠乏性貧血は初期の頃はなかなか自覚症状が出にくく、
特に男性は自分が貧血になるとは思わずに、
病院を受診しないケースが多いんです。
病院を受診しなければ、鉄欠乏性貧血の原因もわかりませんし、
その間に原因となる病気がどんどん進行していきます。
もちろん男性だけでなく、
女性も消化管出血やがんが隠されていることもあります。
そのため、健康診断で貧血を指摘されたり、
「最近疲れやすい、だるい」など貧血の症状が疑われる場合には
早めに医療機関を受診するようにしましょう。