梅毒は過去の病気ではありません。梅毒の患者数がジワリと増加中です。
梅毒に感染する若者が増加
梅毒は、性感染症の代表ともいえる病気ですが、
江戸時代や戦前までの過去の病気と思っていませんか?
でも、ここ3年間で
梅毒の患者数が少しずつ増加しているんです。
国立感染症研究所の調査によると、
平成25年に梅毒と診断された人は1226人で
前年(平成24年)と比べて
351人増加していることがわかりました。
調査が開始された平成12年から22年までは
500人~700人で推移していましたが、
平成23年には827人、平成24年に891人、平成25年に1226人と
ここ3年間で増加傾向にあります。
患者の割合は男性が989人と80%以上を占めていて、
25~39歳の若年層での感染増加が目立っています。
感染症研究所の大西部長は
「増加の原因は不明だが、
患者の多くは男性同士の性的接触の経験を持っている。
こうしたコミュニティーに
梅毒が入り込んでいる可能性がある」と述べています。
梅毒ってどんな病気?
梅毒は、梅毒トレポネーマという
細菌が引き起こす全身感染症で、
主な感染経路は性行為やオーラルセックスによる感染で、
そのほか梅毒トレポネーマに汚染されたものに
傷がある手で触わることで感染したり、母子感染もあります。
梅毒の症状は第1期から第4期に分けられます。
1週間から3ヶ月程度(通常は3週間)の潜伏期間を経て、
梅毒トレポネーマが進入した部位
(陰部や口腔内)が腫れたり、
脚の付け根のリンパ節が腫れます。
これが第1期です。
第2期は感染後3ヶ月から3年の状態で、
全身のリンパ節が腫れて、
発熱や全身倦怠感などの症状が現れます。
このほか、梅毒特有の症状である
「バラ疹」と呼ばれる全身の発疹が出ることもあります。
第3期は感染から3年から10年たった状態で、
全身の皮膚や筋肉、骨、関節にゴムのような腫瘍が発生します。
感染から10年以上経つと第4期に入ります。
第4期は多くの臓器に腫瘍が発生し、
脳や脊髄、神経が梅毒トレポネーマに侵され死亡します。
梅毒の治療と予防
医療が未発達だった頃は、梅毒に感染すると
第4期に移行して死亡するケースもあったのですが、
現在は梅毒トレポネーマに有効な抗生物質がありますので、
第3期以降まで進行するケースはほとんど無くなっています。
梅毒にはペニシリン系の抗生物質を投与し、
第1期は2~4週間、第2期が4~8週間投与し、
検査で陰性となれば、治療が終了になります。
梅毒の治療のポイントは、
医師に処方された抗生物質の用法・用量を守って
きちんと服用することと
パートナーも一緒に検査を受けることです。
早期の検査・治療が梅毒の感染拡大を防ぎます。
梅毒の予防法は、不特定多数との性行為は止めること、
性行為の際はコンドームを使用することです。
日本は性感染症に関しては後進国と言われています。
性感染症は予防できるものですので、
一人ひとりが自覚を持って、
梅毒など性感染症を予防していきたいですね。