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胎児を感染症から守れ!トーチ症候群(Torch症候群)について知りましょう。




トーチ症候群とは?

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2013年は日本全国で風疹が大流行したことを
覚えている人も多いと思います。

妊娠中の女性が風疹に感染すると、
お腹の中の胎児も風疹ウイルスに感染し、
先天性風疹症候群になってしまうという問題が
大きく取り上げられましたよね。

妊娠中に感染すると胎児に悪影響が出る感染症は、
風疹だけではありません。

妊娠中に感染することで胎児に奇形や
重篤な母子感染証を引き起こすものを総称して、
トーチ症候群(Torch症候群)と呼んでいます。

トーチ症候群の疾患は、
T=Toxoplasmosis(トキソプラズマ症)、
O=Other(その他:B型肝炎ウイルス、EBウイルス、
水痘・帯状疱疹ウイルス、コクサッキーウイルスなど)、
R=Rubella(風疹)、
C=Cytomegalovirus(サイトメガロウイルス)、
H=Heroes simplex virus(単純ヘルペスウイルス)
の頭文字をとって名づけられています。

風疹が引き起こす胎児への悪影響や予防法は、
昨年の大流行で皆さんご存知だと思いますので、
ここではトキソプラズマ症とサイトメガロウイルス、
単純ヘルペスウイルスについてご説明します。

トキソプラズマ症とは?

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トキソプラズマ症とは、
トキソプラズマ原虫によって引き起こされる感染症で、
健康な人であれば感染してもほとんど症状は現れません。

ただ、妊娠中の女性が初めてトキソプラズマ原虫に感染したり、
妊娠6ヶ月以内に感染した場合は、
30~40%の割合で胎児への垂直感染が起こり、
流産・死産や脳の障害、肝障害、肺炎などの
先天性障害が起こります。

トキソプラズマの感染経路は、主に経口感染になります。

牛肉、豚肉、鶏肉などの食肉の中に
シストと呼ばれるトキソプラズマ原虫の嚢子があり、
十分に加熱せずに肉類を食べたり、
生肉を扱った包丁やまな板を洗わずに
他の食材を扱ったりすると感染しますので、
妊娠中は特に生肉の取り扱いには注意が必要です。

また、猫の糞からも感染しますので、
猫を飼っている場合も要注意です。

サイトメガロウイルス感染症とは?

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サイトメガロウイルスは、
多くの人が幼児期に感染していますが、
そのほとんどが症状が現れない不顕性感染で、
日本人の80~90%が免疫を持っていると言われています。

しかし、妊娠中に初めてサイトメガロウイルスに感染すると、
胎盤を通じて胎児も感染してしまい、発育遅延や早産、
小頭症などの先天性異常を引き起こすリスクがあります。

また、出生時に異常が見られなくても、
後に何らかの神経学的障害が出てくることもあります。

サイトメガロウイルスは尿や唾液に多く含まれていますが、
それに触れて体内に入ることで感染します。

妊娠中の女性が感染する場合、
第2子妊娠中に上の子の世話で唾液や尿、
鼻水などに触れてしまい感染するケースがほとんどです。

昔は成人の90%が
サイトメガロウイルスの免疫を持っていましたが、
20代女性は60%前後しか免疫を持っていない
というデータもあります。

妊娠中の女性は、こまめな手洗いをし、
お子さんと食器を共有しないなどの予防策
とるようにしましょう。

単純ヘルペスウイルスとは?

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単純ヘルペスウイルスは、
誰でも感染する可能性のあるウイルスです。

唇に感染すれば口唇ヘルペス
性器に感染すれば性器ヘルペスと呼ばれます。

疲れが溜まっていたり、体調が悪いときに、
唇に水泡ができて痛みが出るという人も
多いのではないでしょうか?

妊婦が性器ヘルペスに感染していると、
分娩時に赤ちゃんに感染して、
新生児ヘルペスを引き起こします。

新生児ヘルペスは治療をしても
脳に重大な後遺症が残るケースが多く、
深刻な感染症のひとつです。

性器ヘルペスは性感染症です。

妊娠前からパートナーが
性器ヘルペスを発症している場合はコンドームを使用する、
口唇ヘルペスがある場合はオーラルセックスは避ける
などの予防策が有効です。

また、ヘルペスは非常に感染力が強いですので、
妊娠中はヘルペスを発症している人と
食器の共有なども避けるようにしましょう。





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2014年5月9日 | カテゴリー:妊娠・出産 感染症

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