WHOがポリオの感染拡大に対して緊急警戒を宣言!ポリオとはどんな病気?
ポリオで緊急警戒!
5月5日、世界保健機関(WHO)の
マーガレット・チャン事務局長は、南アジアや中東、
アフリカでポリオの感染が急激に拡大しているとして、
「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。
ポリオは世界的にも一時は撲滅状態に近づいていましたが
2013年には417件、
2014年に入ってからは74件の感染例が報告されていて、
さらに国境を越えて感染が拡大しているため、
専門家の間で緊急の対応が必要と判断されました。
WHOはパキスタンやシリア、イスラエル、
カメルーンなどポリオウイルスが確認されている国に、
海外渡航者にはワクチン接種をするように勧告しています。
WHOが感染症のリスクに対し「緊急事態」を宣言するのは、
2009年に世界的に流行したH1N1型インフルエンザ
(新型インフルエンザ)以来のことです。
ポリオとは?
ポリオ(急性灰白髄炎)とは、
ポリオウイルスが原因で起こる感染症です。
ポリオウイルスが口から体内に入り
腸内で増加することで感染し、
増加したウイルスが便から排出され、
この便を介して人への感染が広がっていきます。
ポリオウイルスに感染しても
約9割の人は症状が出ずに免疫を獲得しますが、
発症すると発熱や頭痛、のどの痛み、
下痢など風邪に似たような症状が現れ、
さらにウイルスが脊髄に入り込んで四肢に麻痺が起こり、
麻痺が一生残ったり、呼吸困難で死亡することもあります。
ポリオはは現在有効な治療手段はなく、対症療法のみになり、
麻痺に対してはリハビリをすることで
できる限り機能回復をするという治療しかありません。
ポリオはワクチンで予防を!
現在、パキスタンやシリア、イスラエル、カメルーンなど
世界10ヶ国で感染が確認されていて、
日本では撲滅状態にあります。
日本では1960年にポリオが流行し
患者が5000人を超えましたが、
その後ワクチン接種が進んだことによって、
1980年に最後の患者が確認されて以来、
ポリオの患者は確認されていません。
ポリオは、ワクチン接種で予防することができます。
日本では経口生ワクチンが使用されていましたが、
生ワクチンは稀にポリオに感染した時と
同じような症状が現れるため、
2012年9月から不活性化ワクチンが導入されました。
現在、日本ではポリオに感染することはまずありませんが、
海外から持ち込まれる可能性もありますし、
流行国に行けば感染することもありますので、
ワクチン接種は確実に受けましょう。
不活性化ワクチンは、
初回接種は生後3ヶ月から12ヶ月の間に3回、
追加接種として初回接種の12~18ヶ月後に1回
接種する必要があります。
また、1975年~1977年生まれの人は、
ポリオのワクチン接種は受けているものの、
免疫獲得が低く、感染する可能性があります。
この年代に当てはまる人が流行国へ行く場合は、
追加接種が必要なこともありますので、
渡航前に医師に相談すると良いでしょう。