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パキスタンでポリオが流行。ポリオとポリオワクチンについて知りましょう。




ポリオとは?

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ポリオは、現代の日本では
あまり馴染みのない感染症ですよね。

小さなお子さんをお持ちの保護者の方が、
お子さんの予防接種の時に
ポリオという言葉を聞く程度かもしれません。

ポリオ(急性灰白髄炎)は、
ポリオウイルスによる感染症で、
小児まひとも呼ばれている病気です。

ポリオの感染経路は経口感染で、
感染して体内にウイルスが侵入すると、
神経が通っている脊髄の前角細胞に到達し、
四肢の麻痺を起こします。

重症化すると、呼吸筋の麻痺を起こし、
呼吸不全で死にいたることもあります。

また、ポリオが原因で四肢の麻痺が起こると、
治療後も麻痺が残ってしまいますので、
一生四肢の麻痺という大変な障がいと
付き合っていかなくてはいけないんです。

ポリオに感染しても
すべての人が四肢麻痺の症状を起こすわけではなく、
ほとんどの人は風邪のような症状で済んでしまい、
四肢麻痺を起こすのは1%程度と言われていますが、
その1%が四肢麻痺の後遺症や死にいたるため、
ポリオは怖い感染症であり、
根絶しなければいけない病気なのです。

ポリオがパキスタンで流行中

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日本ではすでに根絶されていて、
予防接種以外では馴染みのないポリオですが、
南アジアのパキスタンではポリオが流行しています。

ポリオの流行理由は、政治的なものなんです。

パキスタンでは2011年に
国際テロ組織アルカイダの指導者である
ビンラディン容疑者がアメリカ軍によって殺害されましたが、
容疑者の潜伏先が特定されたのは、
偽の予防接種運動によって
容疑者の子供のDNA情報が得られたためとされています。

そのため、
「ポリオ根絶のための予防接種推進運動は、
イスラム教徒を根絶やしにしようとしている陰謀だ」と宣伝して
ポリオの予防接種を禁じている地域があるんです。

パキスタンの今年のポリオの患者数は202人に達しています。

2013年は93人、2012年は58人ですので、
今年に入り急増していることがわかります。

ポリオの治療と予防

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ポリオを根本的に治療する方法は確立されておらず、
ポリオの治療は対症療法のみになります。

また、後遺症として残った
四肢麻痺に対するリハビリテーションも、
ポリオの重要な治療の1つです。

ポリオの予防は、ワクチンの予防接種を受けることです。

予防接種を受けることで、
ポリオは完全に根絶することができるんです。

日本でも1960年代前半までは
ポリオの流行がありましたが、予防接種の普及により、
現在では根絶されています。

ポリオのワクチンは、
経口生ワクチン不活化ワクチンの2種類があります。

日本では2012年8月まで
経口生ワクチンを定期接種として使っていましたが、
2012年9月からは不活化ワクチンを使っています。

経口生ワクチンは安価であること(日本は原則無料ですが)と
注射をしなくてよいというメリットがありますが、
数十万から数百万に1回副作用として
ポリオに感染してしまうというデメリットがありました。

でも、不活化ワクチンは
ポリオウイルスを完全に無毒化したものを
ワクチンにしていますので、
高価で注射をする痛みはあるものの、
副作用の心配はありません。

日本ではポリオに感染する心配はまずありませんが、
定期接種で原則無料ですし、
万が一感染してしまった場合のリスクがとても大きいので、
小さなお子さんをお持ちの保護者の方は
必ずポリオの予防接種を
お子さんに受けさせるようにしましょう。





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2014年10月12日 | カテゴリー:子育て 感染症

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