ただの虫刺されではない!死に至ることもあるつつが虫病について知りましょう。
つつが虫病の報告相次ぐ
ダニの一種であるツツガムシの幼虫に刺されて、
高熱や発疹などの症状が現れる「つつが虫病」が
全国各地で相次いで報告されています。
国立感染症研究所によると、
2014年の患者数は4月27日時点で33件に上っていて、
鹿児島県が最多の12件で、福島県と宮崎県が各4件、
千葉県が3件と続いています。
4月28日以降も、全国各地で感染の報告があるのことです。
戦前は、つつが虫病は秋田県、山形県、新潟県で
真夏にのみかかる病気と考えられていましたが、
現在は全国各地でつつが虫病の感染が報告されていますし、
日本だけでなく東南アジア、中国、朝鮮半島、
ロシアの極東部でも感染例があり、
アジアの広い範囲に広まっています。
また、感染の時期も真夏ではなく
ツツガムシの活動が活発になる春から初夏、
秋から晩秋に感染者が多くなっています。
つつが虫病とは?
つつが虫病とは、どんな病気かご存知ですか?
つつが虫病は、名前だけ聞くと
単なる虫刺されのひとつと思うかもしれませんが、
重症化すると死に至る恐ろしい感染症なんです。
つつが虫病は、「ツツガムシリケッチア」
という病原体を持つツツガムシの幼虫に刺され、
その病原体が体内に侵入すると感染します。
つつが虫病は、刺された後5~14日の潜伏期間を経て、
倦怠感や食欲不振、頭痛、39度以上の高熱など
インフルエンザに似ている症状が現れます。
症状が現れて4~5日後には、
胸や背中に赤褐色で直径2~3mmの発疹が出現し、
徐々に全身に広がっていきます。
つつが虫病の主要3徴候は、発熱、刺し口、発疹です。
発疹が現れた頃に
きちんとした治療を始めれば重症化することなく、
熱も下がり回復していくのですが、
つつが虫病と診断されなかったり、
病院に行かずに様子を見ていて治療が遅れた場合は、
多臓器不全や脳炎を起こして死亡することもあります。
つつが虫病の治療と予防
つつが虫病は、
治療が遅れると死に至ることもある病気ですが、
発症後初期段階で治療を始めれば、
それほど恐ろしい病気ではありません。
主要3徴候やその他検査結果から、
つつが虫病が疑われたら、
テトラサイクリン系の抗菌薬を投与します。
適切に治療が行われれば、
風邪よりも早く治ることもあります。
つつが虫病には、有効なワクチンがありません。
そのため、つつが虫病の予防法としては、
「ダニの活動が活発化する春から初夏、秋から晩秋にかけては、
できるだけ野山や草むらに入らない」、
「長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を少なくする」
などが有効です。
また、ツツガムシは体に取り付いても、
刺す適当な場所を探し回りますので、
病原体が体に侵入するには約10時間程度かかりますので、
野山や草むらから帰ったら、すぐに衣類を着替えて洗濯する、
入浴して体を入念に洗うなども効果があります。
単なる虫刺されでは済まないつつが虫病。
正しい知識を身につけて、しっかり予防しましょう。