死亡率30~50%の敗血症。画期的な治療法が開発されるかもしれません!
敗血症ってどんな病気?
「敗血症」という病名は、
聞いたことがある人が多いと思いますが、
具体的にどんな病気なのかご存知ですか?
まずは、普通の感染症について考えてみましょう。
たとえば、インフルエンザは喉や気管で
インフルエンザウイルスが感染を起こした状態です。
ノロウイルスは、胃腸に感染を起こします。
細菌が肺で感染を起こせば肺炎です。
また、傷が化膿して感染を起こしても、
傷周囲の感染になりますよね。
つまり、普通の感染症は、
身体の一部分のみで感染を起こした状態なんです。
ですので、感染を起こした部分で症状が出るんです。
インフルエンザだったら咳、ノロウイルスだったら下痢と嘔吐
肺炎では咳や痰、傷の化膿はその部分の痛みなどですね。
そのほかの部分は、発熱や全身倦怠感などはありますが、
それ以外で特に大きな問題が起こることはありませんよね。
では、敗血症の場合はどうなんでしょう?
敗血症は血液の中に菌が侵入して
重篤な症状を引き起こすことです。
肺炎やその他の感染症の細菌が、血液内に侵入すると、
血液は全身を巡っていますので、
一気に細菌が広がりますよね。
そうすると、もう一部分のみの感染ではなく、
全身状態が悪くなって、各主要臓器の機能が低下し、
重篤になるとショック状態を起こして死に至る
とても恐ろしい病気なんです。
敗血症の治療法
敗血症の治療法は、とにかく抗生物質を投与して、
血液中の細菌を退治しなければいけません。
また、血圧管理や栄養管理、
血糖値の管理など全身状態の管理も必要です。
場合によっては、
血漿交換や持続的血液濾過透析(CHDF)なども行います。
ただ、敗血症になると多臓器不全やDICによる出血傾向、
敗血症性ショックなどへ移行しやすく、
予後は不良とされています。
敗血症は死亡率が30~50%と言われていますし、
命は助かっても何らかの後遺症が残ってしまう
ということも珍しくありません。
画期的な治療法が開発されるかも!
予後が悪く怖い敗血症ですが、
将来的に画期的な治療法が開発されるかもしれません。
アメリカのハーバード大学などの研究チームの論文によると、
磁石を使って血液から細菌や毒素を取り除く装置を
開発したそうです。
この装置は脾臓のような働きをし、
透析のように血液を体外循環させて磁石が入った装置を通せば、
細菌や毒を取り除けるという仕組みです。
現在は、ラットを用いた実験で成功していて、
今後人間に用いることができるように
研究・開発していくとのことです。
この装置が人間にも適用できれば、
敗血症の死亡率はグッと下がりますよね。
体内に体外循環のカテーテルを入れて、装置につなげれば、
血液中の細菌が取り除かれるんですから。
しかも、エボラウイルスやHIVにも応用可能とのことですので、
近い将来、人類が感染症に打ち勝つ時代が
来るのかもしれません。