日本でも腸チフスに感染する?腸チフスについて知っておきましょう
食中毒で腸チフス
国立感染症研究所によると、海外渡航歴がないのに
腸チフスに感染している症例が増えているとして、
「国内感染例が原因不明のまま散発し、
増加する傾向が見られている」と注意を呼びかけています。
日本では腸チフスは
基本的に海外からの輸入感染症という扱いでした。
近年は毎年 20~35 例ほどの報告がありますが、
そのうち 7~8 割は海外で感染し、
日本で発症したものと推測されるケースでしたが、
2013 年以降は海外渡航歴がない人が
腸チフスに感染するなど
国内で感染したと疑われるケースが
増えているとのことです。
2014 年は 9 月 24 日時点ですでに
36 例が報告されていて、
そのうちの 3 割以上が国内感染と推測されています。
また、9 月には東京都で
腸チフスの集団食中毒も起こっています。
腸チフスというと、日本では感染しない病気、
海外の途上国や新興国で感染するものという認識を
持っている人が多いと思いますが、
今後は日本でも腸チフスに感染する可能性があると
思っておいたほうが良いかもしれません。
腸チフスとは?
腸チフスとはいったいどんな感染症か知っていますか?
腸チフスは、サルモネラ菌の一種である
チフス菌によって引き起こされる感染症です。
感染経路は経口感染で、
腸チフスに感染した人の尿や便に汚染された水や氷、
食べ物を食べることで感染します。
腸チフスに感染すると、
約 2 週間の潜伏期間を経た後、38 度以上の高熱が出ます。
腸チフスの発熱の特徴は、
解熱剤を飲めば一度 37 度台にまで下がることはありますが
高熱が 1~2 週間続くことです。
また高熱のほかに頭痛や全身倦怠感、腹痛、
下痢などの症状を伴い、
バラ疹と呼ばれるピンク色の発疹が胸部や腹部に現れます。
重症化すると、腸から出血したり、
腸に穴が開いてしまうこともあります。
腸チフスは、菌の数が少なくても感染しますので、
感染力の強い感染症と言えるでしょう。
腸チフスの治療と予防
腸チフスの治療法は、抗生物質を服用することです。
腸チフスの症状が出ている間は、
基本的に入院治療となります。
熱が下がれば、退院することもできますが、
抗生物質の服用は続けなければいけません。
腸チフスの場合、
抗生物質の服用期間は 2 週間程度と長期に渡ります。
熱が下がったり、症状がなくなったからといって、
自己判断で服用を中断してしまうと、
再発の危険がありますし、チフス菌を保菌していて、
知らないうちに他者へ移してしまうことになります。
腸チフスの予防法は、海外では生ものは避けること、
手洗いはしっかりすることなどがありますが、
日本の現状では有効な予防法はありません。
腸チフスのワクチンは日本では承認されていませんし、
現在の日本の報告数であれば、
わざわざワクチンを輸入して接種する必要はないでしょう。
ただ、腸チフスの流行地に長期間滞在するという場合は、
医師と相談して、
ワクチン接種を受けても良いかもしれません。