謎の息切れの原因?肺に血栓が詰まる病気CTEPH(シーテフ)について知りましょう。
その息切れはCTEPHかも?
肺や気管などの呼吸器に問題はないのに、
なんだか息苦しさを感じるという人はいませんか?
それは、CTEPH(シーテフ)という病気かもしれません。
CTEPHとは、慢性血栓塞栓性肺高血圧症のことです。
長くて難しい病名ですね。
病名に「高血圧」と入っていますが、
生活習慣病の高血圧とはメカニズムがまったく違うものです。
CTEPHは肺の血管の内側に血栓が詰まってしまう病気です。
肺の血管に血栓が詰まる病気というと、
エコノミークラス症候群がありますが、
エコノミークラス症候群の場合は急性のものです。
でもCTEPHは慢性的に血栓が詰まってしまうんです。
慢性的に肺の血管に血栓が詰まっていると、
血栓が血液の流れを邪魔しますので、
血管壁への圧力が高くなります。
つまり、肺の血管だけ血圧が高くなる
「肺高血圧症」という状態になるんです。
そうすると、肺や心臓への血液の流れが悪くなりますので、
息切れや息苦しさを感じるようになります。
階段を上ったり、重いものを持ったり、
ちょっと早歩きしただけでも息切れしてしまい、
日常生活を送ることも大変になってしまいます。
さらに症状が進むと、酸素不足を解消するために、
心臓がより強い力で血液を送り出そうとして、
右心室の壁が厚くなり、
心臓が肥大して心不全を起こすこともあります。
CTEPHの原因
CTEPHはなぜ血栓が肺の血管に詰まってしまうのでしょう?
実はCTEPHの原因は、まだ解明されていないんです。
エコノミークラス症候群を発症した後、
CTEPHに移行する患者さんもいますし、
エコノミークラス症候群ではなかったのに、
突然CTEPHを発症し、徐々に進行していくケースもあります。
また、血液の凝固異常があったり、
心臓病やがんの人は血栓ができやすいのですが、
そのような病気の既往がなくても、CTEPHになる人もいます。
CTEPHはまだまだ原因が解明されていなくて、
研究が進められている病気のため、国の難病に指定されていて、
公費負担の対象疾患になっています。
CTEPHの治療法
CTEPHの治療法は主に3種類あります。
1つ目が手術療法です。
手術をして、血管壁にこびりついている血栓を
取り除くという方法です。
この方法だと、血栓を完全に取り除くことができる
というメリットはありますが、再発する可能性もありますし、
高齢者の場合、手術が体に与える負担が大きいため
不適応になることもあります。
2つ目がバルーン療法です。
これは、足の付け根や首などの太い血管から
風船のようなバルーンがついたカテーテルを入れて、
血管内でバルーンを膨らませることで、
血管を広げて血液の流れを良くする方法です。
3つ目が薬物療法です。
抗凝固薬や肺血管拡張薬、心不全の治療薬などを用いて、
血液を固まりにくくし、血管を拡張させる方法です。
CTEPHに使える新しい治療薬も出てきていますので、
治療の選択肢も増えてきています。
CTEPHの原因解明とともに、
治療法もどんどん増えていくと良いですね。