世界的にペストが流行中?過去の病気ではありません!ペストについて知りましょう。
アメリカで肺ペストが発生
中世ヨーロッパでは、
ペストが大流行し「黒死病」として恐れられ、
当時のヨーロッパの全人口の約3割が
ペストで死亡したとされています。
ペストというと中世に流行した病気
というイメージが強いのですが、
過去の病気ではないんです。
アメリカのコロラド州では飼い犬から人へ感染し、
肺ペストを発生して4人が入院しています。
また、ペストの発生はアメリカだけではありません。
2014年は中国でペストが発生し、
数万人が隔離されたことがありましたし、
マダガスカル島やコンゴを中心として
毎年2000人がペストに感染しているんです。
厚生労働省はペストの世界的な流行が続いている
との見方を示していて、
今後のペスト感染の広がりが懸念されています。
ペストには数種類ある
ペストはペスト菌に感染することで発症する病気ですが、
ペストには数種類の病型があります。
1つ目は腺ペストです。
腺ペストはペストの中でも最も多いタイプで
ノミに刺されることで感染し、リンパ腺がペスト菌に侵され、
発症後1週間程度で50~70%が死亡します。
2つ目が肺ペストです。
アメリカのコロラド州で発症したのは、
この肺ペストです。
肺ペストは症例数は少ないものの、
人から人へ感染するという特徴があります。
また、死亡率が非常に高いことも特徴の1つです。
3つ目が敗血症ペストです。
この敗血症ペストはペスト菌が全身に広がって、
敗血症症状をおこし、皮膚に出血斑を起こして、
全身が黒いあざだらけになり死亡します。
中世ヨーロッパで「黒死病」と呼ばれたのは、
この敗血症ペストによる黒いあざによるためです。
ペストの治療と予防法
ペストは適切な治療を行わなければ、腺ペストでは50~70%、
肺ペストや敗血症ペストではほぼ100%が死亡しますが、
感染したペスト菌の株に合った抗生物質を投与し、
適切な治療を行えば、
現在では死亡率は20%以下とされています。
予防法は、流行地域では
ノミに咬まれないように注意することや
死んだ動物に触らないようにすることがあります。
また、ペストはワクチンがありますが、
有効性はそれほど高くないことが確認されています。
マダガスカルなどの流行地域に長期間滞在する以外には、
ワクチンの接種は推奨されていません。
日本では1930年以来ペストの発生はありませんが、
世界的にペストが流行しているとされていますし、
日本にいつ上陸するかわかりませんので、
正しい知識を身につけておきましょう。