豚の生食で感染。E型肝炎について知りましょう。劇症化するケースもあるので注意が必要です。
豚の生食が禁止に
2015年5月27日に厚生労働省は
豚肉の生食を禁止することを決定しました。
これは、豚のレバーだけでなく
豚肉やそのほかの内臓すべてに適用されます。
2012年には、
牛レバーの生食がO -157などの腸管出血性大腸菌による
食中毒の危険が高いため禁止になりましたが、
今回の豚肉の生食禁止も
食中毒などの感染症の危険が高いための措置となっています。
豚肉は様々な菌やウイルス、
そして寄生虫に汚染されているんです。
豚肉を汚染している菌には、
カンピロバクター菌やサルモネラ菌、
エルシニア菌などがあります。
どれも食中毒を起こす代表的な菌ですよね。
そして、ウイルスはE型肝炎ウイルスが付着しています。
また、寄生虫にはトキソプラズマや有拘嚢虫がいます。
豚肉にはこれだけの危険な細菌、
ウイルス、寄生虫が付着しているんです。
生食すれば、これらに感染することもありますが、
きちんと過熱すれば感染の危険はなくなり、
安全に豚肉を食べることができるんです。
E型肝炎とは?
豚肉にはカンピロバクターやサルモネラ、
トキソプラズマなどいろいろな微生物が付着していますが、
中でも注目したいのはE型肝炎です。
A型、B型、C型肝炎は比較的有名ですが、
E型肝炎はあまり聞いたことがないですよね。
E型肝炎に感染すると、平均6週間の潜伏期間を経て、
発熱や倦怠感、食欲低下、吐き気、
腹痛などの消化器症状が現れます。
肝臓では炎症が起きて肝細胞が破壊されていますので、
肝機能が低下し、黄疸が出ることもあります。
E型肝炎は基本的に急性肝炎であり、
慢性化することはほとんどなく、
通常は1~2ヶ月で完治しますが、
劇症化するケースもあるので注意が必要です。
特に、妊娠後期にE型肝炎を発症すると、
劇症化するリスクが高く、死亡率は20%にも跳ね上がります。
E型肝炎の治療と予防法
E型肝炎の根本的な治療法はまだなく、
安静臥床が基本的な治療法になります。
また、その症状に応じた対症療法が行われます。
E型肝炎を予防するには、
豚肉を生で食べないことはもちろんですが、
きちんと中心部まで加熱することが大切です。
表面だけ加熱しただけでは、
内部のウイルスを死滅させることはできません。
しっかり中心部まで加熱するようにしてください。
また、E型肝炎ウイルスは
野生のシカ肉やイノシシ肉からも検出されていますし、
発展途上国では水やそのほかの食品からも検出されています。
E型肝炎を予防するには、生肉は食べないようにして、
肉類は中心部まで加熱すること、
発展途上国に旅行した場合は食品や
水の衛生に気をつけることが必要です。