災害時にエコノミークラス症候群が頻発するのはなぜ?予防法も知っておきましょう
エコノミークラス症候群って?
4月15日に発生した熊本大地震の被災者の方に、
エコノミークラス症候群が頻発していることが
問題になっています。
「エコノミークラス症候群って何?
飛行機に乗った時だけに起こるものじゃないの?」
と疑問を持つ人もいると思いますので、
エコノミークラス症候群について、
一度しっかり確認しておきましょう。
エコノミークラス症候群とは、
正式名称を静脈血栓塞栓症と言います。
静脈に血栓ができ、
その血栓が血管に詰まってしまう病気のことです。
飛行機で座席の狭いエコノミークラスに
長時間座って動かないでいると、
下肢の血流が滞るようになり、血栓ができやすいので、
「エコノミークラス症候群」と呼ばれるようになりました。
でも、エコノミークラス症候群は飛行機に乗らなくても、
同じように長時間動かずにいると発症します。
長時間動かずにいると、ふくらはぎ周辺の静脈の血流が滞り、
血栓ができやすくなるんです。
避難所での生活はスペースが限られていて
思うように動けないことが多いですし、車の中で避難生活を送り、
脚を延ばせない人もいますので、
災害時はエコノミークラス症候群になる人が多いのです。
エコノミークラス症候群の症状は?
エコノミークラス症候群は、血液が滞って血栓ができます。
この血栓が静脈の流れに乗って心臓に届き、
肺に達した場合が非常に危険になります。
下肢から心臓にかけては静脈はどんどん太くなりますので、
下肢でできた血栓が詰まる心配はあまりありません。
でも、心臓から肺に出てしまうと、
肺の血管は細いものが多いので、
肺の血管に詰まってしまう可能性があるんです。
肺の血管に血栓が詰まったら、
肺での酸素と二酸化炭素の交換ができず、
すぐに呼吸困難感が出現します。
そして、その状態が続けば、低酸素状態になり、
最悪の場合は死に至ることになります。
エコノミークラス症候群の予防法
エコノミークラス症候群は、
死の危険もあるおそろしい病気であることが
お分かりいただけたと思います。
では、エコノミークラス症候群にならないために、
エコノミークラス症候群の予防法を知っておきましょう。
エコノミークラス症候群の予防は、とにかく動くことです。
ふくらはぎに血栓ができるのは、動かないためです。
ふくらはぎの筋肉を動かすと、それがポンプの役割になって、
血液の流れを促進させ、血栓ができるのを予防できます。
そのため、長時間同じ姿勢を取らないことが一番良いのですが、
長時間のフライトや避難生活で
長時間同じ姿勢を取らざるを得ない場合は、
2時間に一回程度は席を立って歩くようにしましょう。
それがどうしてもできない場合は、
かかとの上げ下げやつま先の上げ下げだけでも
その場で頻回にやっておきましょう。
また、水分補給をしっかり行うことも大切です。
体内の水分が足りなくなると、血液がドロドロになり、
より血栓ができやすくなりますので、
血液をサラサラにして血流を良くするためにも、
水分補給はしっかり行っておきましょう。
エコノミークラス症候群の初期症状は?
エコノミークラス症候群の予防法をご紹介しましたが、
それでもエコノミークラス症候群を
100%予防できるわけではありません。
でも、エコノミークラス症候群を発症しても、
肺で詰まる前、つまり初期の段階で気づき、
医療機関を受診すれば、重症化するのを避けることができます。
エコノミークラス症候群の初期症状は、ふくらはぎや膝の裏、
太もも等血栓ができた部位の痺れや皮膚の変色や炎症です。
全ての症例で必ずしも
このような初期症状を引き起こすわけではありませんが、
もし様々な事情で足等を動かしておらず、
このような症状に思い当たった場合は、すぐに医療機関を受診し、
症状と足を動かしていない旨を伝えるようにしてくださいね。