歩行困難に?大腿骨頭壊死症の症状や原因、治療法のまとめ
大腿骨頭壊死症とは?
大腿骨頭壊死症という病気を聞いたことがあるでしょうか?
大腿骨頭とは、太ももの骨の先端部、
骨盤に入り込んでいる骨の部分のことです。
太ももの骨の股関節部分は丸い球状になっているので、
「骨頭」という名前が付いています。
大腿骨頭壊死症とは、
この大腿骨頭の一部分(軟骨直下の骨)が血行障害が原因で、
骨に必要な栄養素が行き届かずに、壊死してしまう病気です。
骨が壊死すると、壊死した部分が脆くなって、
破壊されて潰れてしまうので、
股関節の痛みが出てくるのです。
股関節の痛みが出てくると、
さらに進行して歩くことすら難しくなってしまうことがあります。
この大腿骨頭壊死症は、1年間で2000~3000人発症していて、
30~50歳が好発年齢とされています。
また、大腿骨頭壊死症は厚生労働省の
特定疾患に指定されている病気です。
大腿骨頭壊死症の原因は?
大腿骨頭壊死症は、
原因がきちんと解明されていない病気ですが、
発症リスクを上げる要因、
関連性が指摘されている要因は3つあります。
大腿骨頭壊死症の発症要因の1つ目は、ステロイド薬です。
ステロイド薬を多用した人は、
大腿骨頭壊死症になりやすいのです。
ステロイド薬の使用といっても、
アトピー性皮膚炎の治療で使うような外用薬の程度ではなく、
全身の炎症疾患のような特殊な病気で、
「パルス療法」と呼ばれるようなステロイド薬の
大量投与を行った場合に発症のリスクが上がります。
また、アルコールを毎日飲んでいる人も、
大腿骨頭壊死症になりやすいんです。
統計によると、アルコールを10年以上
ほぼ毎日飲んでいるとリスクが上がります。
お酒が好きな人、毎日晩酌をするのが習慣の人は
注意したほうが良いでしょう。
また、股関節の大きなけがをした場合も、
大腿骨頭の血行が悪くなってしまうので、
大腿骨頭壊死症の発症リスクが上がってしまいます。
ただ、これらのステロイド薬の使用、アルコールの多飲、
股関節の怪我はあくまで発症リスクが上がるだけで、
必ず大腿骨頭壊死症を発症するわけではありません。
また、これらの要因には全く当てはまらないのに、
大腿骨頭壊死症を発症する人もいます。
大腿骨頭壊死症の治療法
現代医学では、
大腿骨頭の壊死を止める治療法はありません。
そのため、壊死がまだそれほど進んでいない場合は、
痛みを緩和させたり、歩行障害のためには
松葉づえを使うなどの対症療法が主になります。
壊死がどんどん進んで、
日常生活にも大きな支障が出てくる場合は、
手術を行います。
手術の方法は自分の関節を残す大腿骨内反骨切術や
大腿骨頭回転骨切り術が第一選択となります。
ただ、壊死の部分が後半になっていると、
人工関節置換術が行われます。
最近は、人工関節置換術の治療成績が良く、
以前よりもこの治療法を選択するケースが増えてきています。
この大腿骨頭壊死症は血行が悪い部分だけが壊死しますので、
それ以外の部分に壊死が広がることはありませんので、
骨切り術で治療をすれば、
それ以上病気が進行する心配はありません。