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4月1日からスタートした新型出生前診断。ダウン症検査精度は向上したが、その注意点とは?




高齢出産とダウン症

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近年、日本では晩婚化が進み、
35歳以上で子供を産む女性が増えています。

35歳以上の高齢出産の場合、
妊娠中毒症などのリスクもありますが、
ダウン症など染色体異常の子供が生まれる確率も上がります。

35歳だと300人に1人、40歳だと100人に1人の確率で
ダウン症の子供が生まれるというデータがあります。

ダウン症とは、
染色体の異常のために起こる先天性疾患のことで、

ダウン症の特徴的な顔貌のほかに、
合併症として知的障害、先天性心疾患、低身長、
頚椎の不安定性などの症状が出ます。

高齢出産で、ダウン症の子供が生まれる確率が高い場合、

親としてはきちんと子育てできるか、
子供の将来はどうなるかなど
様々な心配や不安が出てくるのは当然のことだと思います。

高齢出産が増加しているという背景の中、
今年の4月1日から、胎児がダウン症かどうかを調べる
新型出生前診断の制度がスタートしました。

 

新型出生前診断とは?

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従来、ダウン症など
染色体異常があるかどうかを調べる検査には、
血液検査のクアトロテスト羊水検査がありました。

クアトロテストは、血液検査のため
安全性が高い検査ですが、

ダウン症かどうかの確率を調べるためのもので、
確定診断ではありません。

今回スタートした新型出生前診断も、
クアトロテストと同じ血液検査です。

でも、クアトロテストと違うのは、その精度です。

クアトロテストは陽性でも数百分の一で
ダウン症の可能性があるというものですが、

新型出生前診断は99%と
精度が非常に高いことが特徴です。

現在、全国で15の医療機関が認定を受けて、
臨床研究として実施されています。

 

新型出生前診断の注意点とは?

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99%と高い精度を誇る新型出生前診断ですが、
100%の精度ではありません。

そのため、陽性と診断されても、
99%は胎児に染色体異常がありますが、
残り1%は異常がない可能性があるのです。

そのため、陽性と診断されたら、
羊水検査を受けないと確定診断にはなりません。

羊水検査は、300分の1の確率で
流産してしまうリスクのある検査です。

また、新型出生前診断は、命の選別につながる
といった反対意見も根強くあり、

新型出生前診断を受ける前には、
夫婦で陽性と診断を受けたときのことやリスクなど
について、しっかり話し合っておく必要があります。

 

今後の課題は、精神的なケアの充実

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新型出生前診断を受ける前に、
夫婦で今後のことをよく話し合ったとしても、

実際に検査を受けると、
判断が揺らぐ可能性があります。

また、陽性と診断を受けた場合、
羊水検査を受けるかどうか、
中絶を視野に入れるかの判断を迫られることになります。

このように命の選別になり兼ねない
重要な選択を迫られる夫婦、特に母親に対して、
充実した精神的なケアが求められます。

混乱のうちに選択することにならないよう、
専門家によるカウンセリングなど、
夫婦の決断を支えるためのサポートが必要です。

新型出生前診断は、
導入されたばかりの新しい制度です。

新型出生前診断を行っている病院ごとに、
カウンセリングチームを作るなどのケアを行っていますが、
今後はさらなるサポート制度の充実が求められていくでしょう。





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2013年4月29日 | カテゴリー:医療制度 検査

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