中国で急増するB型肝炎患者。日本におけるB型肝炎の現状と予防法を知りましょう。
世界のB型肝炎患者の30%が中国人
7月28日は、WHOが定めた世界肝炎デーです。
この世界肝炎デーを前に、
中国の国家衛生・計画生育委員会は、
中国のB型肝炎患者数は、約1億人と発表しました。
全世界でのB型肝炎患者数は、
約3億5000万人ですので、
世界のB型肝炎患者のうち約30%が
中国人ということになります。
中国では、法定伝染病の中で
B型肝炎患者の報告数が最も多く、
現在は年間10万人のペースで増加していて、
全世界で年間に肝炎関連で亡くなる人は約70万人ですが、
そのうちの約50%が中国人というデータもあります。
中国の人口は約13億人ですので、
13人に1人がB型肝炎患者ということになります。
いくら人口が多いからといっても、
このB型肝炎患者数は異常とも言える数ですので、
B型肝炎の予防と治療が急務と言えるでしょう。
日本のB型肝炎の現状は?
中国では、B型肝炎患者の増加が問題になっていますが
日本ではどうなのでしょう?
日本では戦後から昭和63年ごろまでの
乳幼児期の集団予防接種における針の使い回しが原因で、
B型肝炎ウイルスに感染する人が増加しましたが、
現在では予防対策がしっかり取られているため、
B型肝炎ウイルス患者は減少傾向にあります。
厚生労働省の2008年の調べによると、
日本のB型肝炎の患者数は
約7万人(推計)とのことですので人口を考えても、
中国がいかにB型肝炎患者が多いかがわかると思います。
B型肝炎とは?
B型肝炎とは、具体的にどのような病気なのでしょう?
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染が原因です。
B型肝炎ウイルスに感染しても、
全ての人が肝炎を発症するわけではありません。
感染者のうち、約30%が急性肝炎を発症し、
黄疸や発熱、倦怠感などの症状が現れ、
入院治療が必要となり、10~15%が慢性肝炎を発症して
肝硬変や肝臓がんへ移行すると言われています。
B型肝炎の予防法
B型肝炎の感染経路は、血液感染です。
具体的には、垂直感染(出産時の母子感染)や
水平感染(医療者の針刺し事故、
刺青や麻薬などでの針の使い回し)があります。
また、性交渉でも感染しますので、
B型肝炎は性感染症のひとつです。
現在は、母親がB型肝炎に感染していても、
免疫グロブリンとB型肝炎ワクチンを併用することで、
子供への感染をほぼ防ぐことができるようになっています。
また、医療者の針刺し事故は、
医療者にB型肝炎ワクチンの摂取を推奨すると共に、
針刺し事故が起こった場合は、
免疫グロブリンの投与で感染予防を行っています。
現在の日本で最も問題になっているのが、
性交渉によるB型肝炎の蔓延です。
現在の日本での新規B型肝炎感染者の感染原因の多くが、
性交渉によるものと言われています。
コンドームを使用することによって、
ある程度感染は予防できますが、
100%完全に予防できるわけではありませんので、
不特定多数との性交渉は控えるなどの対策が必要となります。