致死率の高い「中東呼吸器症候群」。心配される日本への上陸の可能性は?
恐ろしい中東呼吸器症候群
中東呼吸器症候群(MERS)という感染症が、
世界的に問題になっていることをご存知ですか?
このMERSは、新種のコロナウイルスによる感染症で、
2012年に中東のヨルダンやカタール、
サウジアラビアなどで感染が確認されたため、
中東呼吸症候群
(Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus)
と名づけられました。
このMERSの恐ろしいところは、
致死率が非常に高いことと、
人から人への感染が確認されていることです。
2012年9月にMERSが初めて確認されて以降、
8月1日までの約1年間でアラビアの中東地域やヨーロッパ、
チュニジアで合計94人の感染者が確認されていますが、
そのうち46人が死亡しており、
致死率は50%にも及んでいます。
また、家族内感染や同病室での感染など、
濃厚接触した場合に限られてはいますが、
人から人への感染も確認されているため、
感染が拡大しやすい感染症と言えます。
日本への上陸も時間の問題?
現在、日本ではMERSの感染者は確認されておらず、
感染の拡大は中東やヨーロッパが
中心となっていますが、
決して安心できる状況ではありません。
お隣の国、
韓国ではMERSの感染の危険が出ているんです。
サウジアラビアで仕事をしていた韓国人労働者が、
8月12日にMERSの疑いの症状で、
サウジアラビアの病院で死亡していて、
韓国の保健福祉部が死亡原因を調査中とのことです。
そして、MERS疑いで死亡した韓国人労働者の同僚19人は、
8月13日に韓国に帰国していて、
潜伏期間が終わるまで隔離措置が取られています。
現時点で、
同僚19人のMERS感染の報告はありませんが、
韓国でMERS感染者が確認されたら、
日本に上陸するのは時間の問題と言えるでしょうし、
韓国経由でなくても、
中東やヨーロッパで感染した人が日本に来て発症し、
感染が広がるという危険があるということです。
MERSの予防法とは?
徐々に感染地域を広げているMERSですが、
今後世界的に大流行する恐れがあります。
その理由として、10月にハッジ(大巡礼)があり、
聖地であるメッカ(サウジアラビア)に
200万人が集まることになるからです。
サウジアラビアでは感染が確認されていますし、
人から人への感染があるため、
人が集まる密集地帯で感染が広がり、
パンデミックにつながる可能性があるんです。
世界的に流行すれば、
その分日本へ上陸する可能性も高くなりますよね。
MERSの治療法は、現在は対症療法のみで、
根本的な治療法や特効薬はありません。
また、予防のためのワクチンも
開発されていないのが現状です。
MERSの予防法として、
「手洗いやうがいを徹底する」、
「人混みを避け、マスクを着用する」、
「休息や栄養を取って、免疫力を高める」、
「咳などの症状がある人とは、濃厚接触を避ける」
などがあります。
また、特に急用がない場合は、
現時点で中東への渡航は避けたほうが良いでしょう。
また、今までのデータで、
糖尿病や心疾患など慢性的な持病がある人の死亡率が
高いことがわかっていますので、
何らかの既往歴がある人は、
特に中東への渡航は控えましょう。