軽いひざの痛みが実は致命傷?ランナーに多い『ランナー膝』はこうして起きる
ランナー数は1000万人超。空前のランニングブーム
誰でも手軽に始められて、健康への寄与度が高いランニング。
今や空前のブームと言っても差し支えないでしょう。
目標があった方がポテンシャルも上がるということで、
マラソン大会の出場を目標とする人も増えています。
2013年度の東京マラソン応募者数は30万人を超え、
10倍以上の当選確率となりました。
始めるきっかけはダイエットや体力向上のためであっても、
他では得がたい達成感に魅了された人、気持ちが前向きになって
日々の生活に精神的な余裕が生まれたという人、多くのランナー達が
ランニングの魅力にとりつかれています。
距離やタイムが伸びるのは、ランニングを続ける上での大きな
励みになりますが、自分で考えているほど身体が出来上がっていないと、
思わぬ怪我に見舞われることがあります。
すぐに痛みが消えるヒザ痛に注意
走るという行為は、身体の様々な部位に衝撃を与え負担をかけます。
片脚に体重の3~5倍の負荷がかかると言われ、筋力が足りなければ
膝やかかとなどに直接影響し、負傷の原因となるでしょう。
膝に痛みを感じたら、ランニングを中止し数日間は休息を
設けるべきです。
ランニングの後に、膝の外側に痛みが生じることがありますが、
最初のうちはすぐに痛みが消失するので、翌日も走ってしまいます。
それを繰り返していると、痛みが増し、次第に消失している間隔が
短くなってきます。
ランナーに特有のこのヒザ痛こそが、『ランナー膝』と呼ばれる
少々やっかいなスポーツ障害なのです。
腸脛靭帯炎、通称『ランナー膝』
ランナー膝とは膝関節周辺に起きる炎症の総称ですが、狭義では
『腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)』を指します。
腸脛靭帯とは、太ももの外側を覆っている長い靭帯で、
膝の曲げ伸ばしによって、大腿骨の後方へ前方へと移動します。
その際、外側に出っぱっている『大腿骨外顆』という突起部と
こすれ合い、その摩擦によって炎症が起きることがあります。
これがランナー膝の正体です。骨の異常ではないので、レントゲンの
検査では診断がつきません。
膝を曲げた状態で大腿骨外顆の出っぱりを手で押さえ、ゆっくりと
膝を伸ばしていく時に、押さえた部分に痛みが生じたら、この障害が
起きている可能性が高くなります。
オーバーユース(使いすぎ)とウォームアップ不足が原因
いくら健康のためであっても、ストレス解消になっても、膝を
傷めてしまっては元も子もありませんし、なにより継続して
走ることができません。
自分の体力・筋力を把握して、それに見合ったボリュームの
ランニングを心がけましょう。
また、O脚や歩き方の癖で、脚の外側に体重がかかりやすい人は、
ランナー膝になりやすいと言われています。
衝撃を吸収しにくいシューズを履いていたり、下りが多いコースや
足元の悪い道を走ることでも、膝に余分な負担がかかるので
注意が必要です。