慢性腎臓病と人工透析について知りましょう。慢性腎臓病の進行を防ぐためには、ウォーキングが有効です
慢性腎臓病とは?
慢性腎臓病は、慢性的な経過をたどる腎臓病の総称です。
慢性腎臓病は、高血圧や糖尿病などと比べると、
あまり普段は耳にしない病名ですが、
近年新たな国民病として注目されている病気で、
日本には慢性腎臓病の患者が
1330万人もいると推計されています。
これは、20歳以上の日本人の8人に1人が
慢性腎臓病であるという計算になります。
生活習慣病として有名な糖尿病は、
平成24年の国民栄養・健康調査によると
患者数(糖尿病が強く疑われる人)は890万人ですので、
慢性腎臓病は糖尿病以上に患者数が多いことになります。
腎臓は、老廃物を体外へ排泄したり、
体内の水分や電解質のバランスを保ち、
血圧を調節する役割を果たしていますが、
慢性腎臓病になるとこれらの機能が低下してしまいます。
慢性腎臓病の初期段階は、自覚症状がほとんど出ないため、
自分では気がつかないうちに少しずつ進行していきます。
その後、むくみや貧血、倦怠感、息切れ、
夜間頻尿などの症状が出てきて、
ようやく慢性腎臓病であることに気づくのです。
しかし、ある程度症状が進行してしまうと、
腎臓は治療しても元の機能を取り戻すことができなくなり、
透析を受ける必要が出てきます。
人工透析とは?
腎臓の機能が低下すると、尿量が減少もしくは尿が出なくなり
体に老廃物や水分が過剰に蓄積し、
電解質のバランスが崩れてしまいますので、
人工透析という治療で腎臓の代替をし、
老廃物や水分を体外へ排出し、
電解質バランスを整えなくてはいけません。
人工透析には血液透析と腹膜透析の2種類がありますが、
現在の日本では95%以上が血液透析となっています。
血液透析をするには、
まず体表近くに動脈と静脈を交通させた
シャントと呼ばれる部分を手術で作成しなくてはいけません。
また、シャントを保護するために、
日常生活内でも重いものを持たない、
シャント側の腕を下にして寝ないなどの注意が必要です。
そして、実際の血液透析ですが、
基本的に1回4~5時間の透析を病院やクリニックで
週3回行わなくてはいけません。
また、健康な人であれば168時間(7日間)かけて
ゆっくり行う腎臓での体内浄化を、
人工透析の場合は12~15時間という短時間で行うため、
体への負担が大きくなります。
また、1回4~5時間週3回の血液透析は、
必ず行わなくてはならず、
1回の透析を行わなかっただけで命に関わってきますので、
行動が制限されてしまいます。
最近は透析患者にも対応したプランなども出てきていますが、
基本的に海外旅行に行くことは困難ですし、
全てのことに優先させて1回4~5時間週3回の
血液透析の時間を確保する必要があります。
さらに、普段の食事も水分制限、塩分制限、
カリウム制限など制限が多くありますので、
慢性腎臓病の人は、できるだけ早く治療を始めて、
腎臓の機能を維持し、
人工透析に至らないようにしなければいけません。
慢性腎臓病になったらウォーキングを!
慢性腎臓病の進行を防ぎ、人工透析導入を避けるためには、
ウォーキングが効果的であるという研究結果が出ました。
台湾の中国医薬大学付設医院での研究によると、
慢性腎臓病の患者が週1~2回ウォーキングをすると、
死亡率は17%減少し、
透析や腎臓移植は19%減少したそうです。
週3~4回に増やすと、死亡率は28%、透析や移植は27%減、
週5~6回では死亡率が58%、透析や移植が43%、
週7回以上だと死亡率は59%、
透析や移植は44%減とという結果になっています。
この結果を見れば、慢性腎臓病の進行を防ぐためには、
いかにウォーキングが有効かがわかりますよね。
人工透析の導入を避け、健康に長生きするためにも、
慢性腎臓病の人は週5~6回のウォーキングを始めましょう。