命の危険も?夏の登山シーズンは、「高山病」に注意しましょう!
富士登山は高山病に要注意!
7月1日は富士山の山開きです。
山開きの7月1日から8月31日までが、
一般的な富士山の登山シーズンとなっています。
2013年には富士山がユネスコの世界文化遺産に登録されてから、
富士山に登ってみたいと
富士登山を希望する人も多いのではないでしょうか?
ただ、富士山は3776mの標高がありますので、
登山途中で高山病(高度障害)になる可能性があります。
高山病って、ヒマラヤとか8000m級の山に登る時に
注意するものじゃないの?
と思っている方、それは大きな間違いです。
高山病は3000m以上で発症しやすく、
2000m台の登山でも発症することがあります。
そして、「たかが高山病」と放っておくと、
命を落とすこともある危険な病気です。
高山病の症状は、むくみや吐き気、嘔吐、頭痛、
めまいなどが主なものですが、
重症化すると脳浮腫や肺水腫などを起こし、
死亡することがあります。
高山病のメカニズム
高山病はなぜ起こるのでしょう?
標高が上がると、気圧の影響で酸素濃度が減少します。
海抜0mの場所と比べて3000mでは酸素濃度は68%、
3500mでは64%しかありません。
つまり、体が低酸素状態になってしまうんです。
低酸素状態を改善しようとして、呼吸は速くなり、
血中の酸素分圧を保とうとしますが、それでも追いつかないと、
各臓器の低酸素状態が続くため、上記のような症状が起こります。
また、高山病の症状で最も厄介で恐ろしい脳浮腫は、
脳を保護しようとする体の働きで起こります。
脳は体の中で最も重要であり、酸素消費量が多い臓器です。
そのため、低酸素状態になった時、
脳への血流量を多くして、脳への酸素供給量を保とうとします。
そうすると、脳内の水分が多くなり、
脳がむくんだ状態となります。
脳は頭蓋骨に保護されていますので、
余分なスペースがありません。
そのため、脳がむくんでしまうと、
脳内の圧力が高まって、
神経を圧迫し意識障害などの症状を引き起こします。
また、さらに脳浮腫が進み、脳内の圧力が高まると、
脳ヘルニアを起こして、命を落とすのです。
高山病の予防は?
高山病が出るかどうかは、
個人の体質による部分がとても大きいです。
体力があって筋肉モリモリの若い男性が
3000m未満の場所で高山病になることもありますし、
高齢で運動習慣があまりない女性が
5000m以上の場所でもケロッとしていることもあります。
そのため、
「日頃から運動している」「体力には自信がある」からとって
油断しないことが大切です。
また、一気に標高を上げずにゆっくりマイペースで登ること、
意識して深呼吸をして酸素をたくさん取り込むことも有効です。
登山中は呼吸が自然と速くなり、その分水分が蒸発しますので、
こまめに水分補給をすることも重要です。
水分不足より、血流が悪くなると、高山病は悪化します。
登山当日の体調管理にも気をつけてください。
体調不良だと高山病になりやすいですし、
標高が高いところでの飲酒は悪酔いしやすく、
高山病の原因になります。
このような予防法を行っていても、
高山病の症状が出てしまった場合は、
その場でちょっと休んで様子をみましょう。
少し休んで症状が軽くなるようであれば、
症状を見ながら登山を続けても良いのですが、
症状が治まらない、むしろ深刻化する場合は、
すぐに下山する必要があります。
高山病の一番の治療法は高度を下げることです。
「せっかく山登りにきたのに」と残念に思うかもしれませんが
無理をして高山病を重症化させても
何も良いことはありません。
また、登山の機会は1回だけではないですよね!
夏の登山シーズンは、高山病に注意して、
楽しく安全に山登りを楽しみましょう。