健康維持のために重要な腸内細菌。腸内細菌の最新事情を知りましょう。
腸内細菌が注目される理由
最近、「腸内細菌」という言葉を
よく見かけるようになったと思いませんか?
なぜ、腸内細菌に注目が集まっているのか
知っているでしょうか?
人間の腸内(主に大腸内)には、
細菌が約 100 種類 100 兆個も生息しているんです。
100 兆個なんて、気の遠くなるような数字ですよね。
そして、腸内細菌は、
善玉菌、日和見菌、悪玉菌に分けることができます。
善玉菌は人間に役立つもの、
悪玉菌は悪い影響をもたらすもの、
日和見菌はその中間のような働きをしています。
善玉菌は腸の動きを活発にしたり、食中毒やがんの予防、
ビタミン類の産生、免疫力アップ、
コレステロール値の低下などに役立ちます。
善玉菌を増やして、腸内環境を整えれば、
これだけの健康効果が得られるんです。
がんの予防や免疫力アップ、
コレステロールの低下などの効果が期待できるのなら、
腸内細菌に注目が集まるのも納得ですよね。
腸内細菌が食物アレルギーの薬に?
この腸内細菌を食物アレルギーの治療薬として使えないか
という研究が進められています。
厚生労働省によると、現在の日本では乳児の約 10%が、
成人まで入れると人口の 1~2%が
何らかの食物アレルギーを持っていると推測されています。
食物アレルギーはその程度にもよりますが、
深刻な場合はほんの少しアレルギーとなる食物を口にしただけで
アナフィラキシーショックを起こして死に至ります。
でも、現状では食物アレルギーは、
アレルゲンとなる食材を避ける以外に有効な治療法がないんです。
そんな中、アメリカのシカゴ大学の研究チームが
腸内細菌が食物アレルギーを予防するという論文を発表しました。
マウスの実験でインターロイキン 22 やクロストリジウム菌が、
食物アレルゲンが血流に入ることを防止して、
アレルゲンが人体に及ぼす影響を
最小限にすることがわかったんです。
この発見がきっかけで、
将来の食物アレルギーの治療法が確立されるかもしれませんね。
飲み物やサプリは腸に届かない?
善玉菌を増やすために、
乳酸菌飲料やサプリメントを飲んでいる人もいると思います。
上記のインターロイキン 22 も乳酸菌の一種です。
ただ、イギリスでの研究報告によると、
乳酸菌飲料やサプリメントによる乳酸菌は、
腸まで届いていない可能性があるということです。
これは、ショッキングな報告ですよね。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者は、
乳酸菌飲料やサプリメントが宣伝どおりに
たくさんの菌を含んでいるのか、胃を通過できるのか、
腸で善玉菌を増やせるのかという 3 点について
市販の商品を調べました。
その結果、ほとんどの商品が
胃で消滅してしまうことがわかったんです。
小腸まで届く商品でも、
その菌の数は宣伝されているものよりも少なかったそうです。
この研究はイギリスの商品での研究ですので、
日本の商品でも同じような研究結果になるかは不明ですが、
乳酸菌を取ろうと思ったら、
サプリメントや乳酸菌飲料ではなく、
きちんと食べ物から取ったほうが効率が良いかもしれませんね。