人食いバクテリアが急増中!劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは?
人食いバクテリアが急増中
人食いバクテリアって聞いたことがありますか?
「人食いバクテリア」、とても怖いネーミングですよね。
人食いバクテリアとは、
劇症型溶血性レンサ球菌感染症のことです。
致死率は30%にも上ります。
1987年にアメリカで初めて報告されるようになったもので、
その後ヨーロッパやアジアにも広まっています。
日本には1990年代前半に、
イギリス発のニュースで「人食いバクテリア」として紹介され
1992年に千葉県で最初の感染例が報告されています。
この人食いバクテリアこと
劇症型溶血性レンサ球菌感染症の感染者数が、
2011年以降急増しているんです。
日本では1992年に始めて感染例が報告されて以降、
年間の患者数は100人前後で推移していました。
でも、2011年には197人、2012年には242人と増え始め、
2014年には12月14日の時点で263人となっています。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは
人食いバクテリアこと劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、
A群溶血性レンサ球菌が原因と言われています。
A群溶血性レンサ球菌は、
通常子どもの咽頭炎やとびひを起こす細菌で、
健康な人でも2~3%は喉などに生息していると言われています。
通常はA群溶血性レンサ球菌は、
人食いバクテリアと呼ばれるような危険な細菌ではありません。
でも、何らかの原因で免疫力が低下し、
劇症化することがあるんです。
劇症化した場合、発熱や咽頭痛などの初期症状から、
全身倦怠感や低血圧などの敗血症症状が現れ、
さらに軟部組織病変や循環不全、
呼吸器不全などの多臓器不全を起こします。
劇症化したときの進行のスピードは速く、
初期症状から多臓器不全までは24時間程度しか
かからないこともあるのです。
また、軟部組織病変など手足の腫れや痛み、
痺れが劇症型溶血性レンサ球菌感染症の特徴の1つです。
進行すると、四肢の筋肉が壊死していくこともあり、
そのことが「人食いバクテリア」と呼ばれる由縁です。
劇症型溶血性レンサ球菌の予防
A群溶血性レンサ球菌の感染経路は喉からですが、
なぜ劇症化するのかはまだ解明されていません。
A群溶血性レンサ球菌への感染を防ぐためには、
手洗いやうがい、マスクの着用が有効です。
また、子どもはA群溶血性レンサ球菌に感染しても
劇症化することはほとんどなく、
劇症化して劇症型溶血性レンサ球菌感染症になるのは、
30代以上の大人が多いことがわかっています。
もし、お子さんがA群溶血性レンサ球菌による
とびひや咽頭炎になったら、
保護者は感染しないように注意しましょう。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、早期治療がとても重要です。
激しい喉の痛みや手足の痛み、
腫れなど感染が疑われる症状があったら、
早めに医療機関を受診するようにしましょう。