ノロウイルスの流行は不顕性感染が原因?不顕性感染について知りましょう。
不顕性感染とは?
風邪やインフルエンザなどで細菌やウイルスに感染すると、
発熱や頭痛、鼻水、咳などの症状が現れますよね。
でも、細菌やウイルスに感染しても、
症状が現れないことがあるんです。
感染しても症状が現れない状態を不顕性感染と言います。
不顕性感染は、
細菌やウイルスが体内に入って感染は成立したものの、
免疫機能の働きで発病せずに済んでいるんです。
この不顕性感染を臨床上応用させたものが、
弱毒化生ワクチンです。
弱毒化生ワクチンは、生きた細菌やウイルスの毒性を弱めて
ワクチンとして使用することで、
その病気にかかった時と同じような免疫を
つけることができます。
不顕性感染を起こす感染症
では、不顕性感染を起こしやすい感染症には、
どんなものがあるのでしょうか?
不顕性感染の代表例には結核や肝炎があります。
結核は結核菌に感染しても、
実際に発病するのは10~20%程度です。
つまり10人中1~2人しか結核を発病せず、
ほとんどが不顕性感染となります。
また、A型肝炎ウイルスは感染しても、
成人の場合10~25%、小児だと80~95%が不顕性感染となります。
B型肝炎は80~90%が不顕性感染となります。
また、正確には不顕性感染とは言えませんが、
HIVも感染からAIDS発症までが長く、
その期間は症状が現れないため、
不顕性感染として扱われることもあります。
不顕性感染の怖いところは、感染して症状が現れなくても、
ほかの人に感染させることがある点です。
症状がないため、自分が感染しているとは思わずに、
無意識のうちに感染を広めていることがあるのです。
でも、上記に挙げた感染症は、
不顕性感染からの感染拡大をそれほど恐れる必要はありません。
結核は発症していなければ排菌しませんし、
B型肝炎やHIVは血液感染ですので、
きちんと予防していれば感染するリスクは非常に低いんです。
そして、A型肝炎は衛生状況の良い日本では、
リスクの低い病気といえます。
ただ、最近問題になっているのが、
ノロウイルスの不顕性感染からの感染拡大や集団感染です。
ノロウイルスの流行は不顕性感染が原因?
毎年冬になると、ノロウイルスによる急性胃腸炎が流行します。
ノロウイルスは非常に感染力が強く、
予防策を取っていても感染を起こしますし、ホテルやレストラン、
介護施設などで集団感染が起こることもあります。
このノロウイルスの流行の一因が
不顕性感染ではないかと推測されています。
ノロウイルスも不顕性感染を起こしますが、
不顕性感染の人が排菌する量は、
発症している人と変わらないのです。
ノロウイルスが不顕性感染を起こす割合は、
健康状態やウイルスの型によって異なりますが、
感染者の50%にも上ることもあると言われています。
症状がないため、本人は無自覚です。
しかも、感染力が非常に強い。
そうすれば、
当然ほかの人に感染を広げてしまうリスクが高いのです。
ノロウイルスの不顕性感染からの感染拡大を予防するには、
1人1人が不顕性感染の怖さを知って、
衛生管理を徹底するしかありません。
ホテルやレストランだけでなく、
家庭でも家族の1人が不顕性感染になったら、
一気にノロウイルスが広がることもありますので、
1人1人が手洗いや消毒を徹底するようにしましょう。