ゾンビを見てリラックス?コタール症候群について知りましょう。
「自分は死んでいる」と感じる病気
コタール症候群という病気をご存知でしょうか?
コタール症候群とは、
1880年にフランスの精神科医ジュール・コタールが
初めて報告した精神疾患で、
彼の名前にちなんで「コタール症候群」と名付けられました。
コタール症候群は「自分はすでに死んでいる」、
「自分には脳や内臓、神経がない」、
「腐敗して朽ち果てていく」という考えに
捕らわれてしまう精神疾患です。
また、死んだ人(墓地に眠る人)と仲良くしたい、
ホラー映画でゾンビを見ると
リラックスできるなどの症状が現れることもあるため、
コタール症候群は
別名ウォーキングデッド症候群とも言われています。
コタール症候群はうつ病の一種
このコタール症候群は、
1880年にフランスで初めて症例が報告されて以降、
キリスト教(一神教)信者、
とりわけカトリック信者による
原罪的な妄想の症状が数多く報告されていて、
キリスト教信者がコタール症候群になりやすいのではと、
報告当初は考えられていました。
でも、後に日本などでも
コタール症候群の症例が報告されるようになり、
宗教とコタール症候群は関係ないことがわかりました。
その後、症例数が多くなり、さらに疾患の研究が進むにつれて、
コタール症候群はうつ病の一種であることがわかってきています。
コタール症候群は「自分は死んでいる」、
「朽ち果てる」などの自己否定的な妄想が
中心の症状になりますので、
重度のうつ病の症状の1つだと考えられているんです。
また、統合失調症でも死の恐怖や
宗教的な不安が症状として現れることがあるので、
統合失調症の1つという見方をされることもあります。
コタール症候群の治療法
コタール症候群は基本的に重度のうつ病の一種ですので、
コタール症候群の治療はうつ病の治療と同じです。
抗うつ薬や抗不安薬などの投薬を中心にして、
コタール症候群の治療は進められます。
ただ、一般的なうつ病と違う点は、
電気痙攣療法が用いられるケースがあることです。
コタール症候群になると
「死んだ人(墓地に眠る人)と仲良くしたい」など、
死への欲求が強く出ることがあります。
死への欲求が強いと、
自殺企図に至るリスクが非常に高くなるため、
抗うつ薬で時間をかけて治療をしている
時間的な余裕がないことがあり、
そういうケースでは患者さんの命を守るためにも
電気痙攣療法が用いられます。
コタール症候群は、
症例数は多くないものの日本でも報告がありますし、
うつ病の症状の一種ですから、
欧米人のような宗教観を持っていなくても
発症するリスクはあります。
コタール症候群の症状を自覚しても、
本人はなかなか言い出せないことが多いですので、
周囲の人が異変をいち早く気づいて
精神科への受診を勧めるようにしましょう。