子どもに多い溶連菌感染症。大人がかかると人食いバクテリアに?
溶連菌感染症は子どもがかかりやすいけど
溶連菌感染症というと、
ここ1~2年で急速に認識が広まった「人食いバクテリア」
と思い浮かべる人も多いと思います。
人食いバクテリアは、致死率が高く恐ろしい感染症です。
でも、人食いバクテリアの正体は
A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)です。
そして、溶連菌感染症は子どもがかかりやすい感染症です。
子どもがかかる溶連菌感染症と
人食いバクテリア(劇症型溶血性レンサ球菌)
の違いについて知るために、
まずは子どもがかかりやすい溶連菌感染症とは
どんな病気なのかを知っておきましょう。
子どもがかかりやすい溶連菌感染症は、
主に喉に感染を起こす細菌です。
喉で感染を起こし、咽頭炎や扁桃炎を発症し、
喉の痛みや咳、発熱などを引き起こします。
つまり、風邪と似たような症状を引き起こすんです。
また、イチゴ舌といって、舌が赤くなり、
イチゴのような粒々ができるのも
溶連菌感染症の症状の特徴です。
子供の溶連菌感染症は、
抗生剤をしっかり飲みきればすぐに直りますし、
重症化することは稀ですので、
そこまで恐れることはありません。
大人が溶連菌に感染したら要注意
溶連菌感染症は、子どもがかかりやすい感染症ですが、
子どもから大人に感染することも珍しくありません。
大人が感染した場合でも、
必ずしも人食いバクテリアと呼ばれる劇症型に移行して、
命を失うというわけではありません。
ただ、溶連菌の中でも
人食いバクテリアと呼ばれる遺伝子を持つ菌に大人が感染し、
しかもその菌が喉だけではなく、
喉や傷口から溶連菌が血液内に侵入した場合、
「人食いバクテリア」と呼ばれる
致死率が高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」となるのです。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、
手足の壊死や多臓器不全になり、
致死率は30~50%とされています。
現時点では、劇症型溶血性レンサ球菌は
なぜ劇症化するのか不明ですし、
1999年の調査開始以来近年は
増加傾向にある理由も不明ですので、
恐ろしさが増しているのです。
溶連菌感染症にかからないためには?
溶連菌感染症は、水疱瘡やおたふくかぜのように一度感染したら、
もう二度とかからないという病気ではなく、
何度も感染する可能性がある病気ですし、
有効な予防ワクチンがあるわけでもありません。
また、子どもがかかりやすい感染症ですが、
子どもの看護をしていた親が子どもから感染する
という事例が非常に多いという特徴があります。
大人が溶連菌感染症にかからないためには、
子どもが風邪など溶連菌感染症の疑いがある場合の看護をする時は
手洗いやうがい、消毒等をきちんとする必要があります。
手洗いとうがい、消毒をきっちりするだけで
家族間の感染はある程度防ぐことができます。
また、傷が化膿して発熱するなど、
少しでもおかしいと感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
早めに対処すれば劇症化を防ぐことができます。
溶連菌感染症は珍しくない感染症ですが、
劇症化すると高確率で死に至る感染症へと変化しますので、
「私は大丈夫」と楽観視せずに、
異常を感じたらすぐに対処しましょう。