意識はあるけど動けない!閉じ込め症候群について知りましょう。
意識はあるけど意志の伝達ができない
意識がなく言葉を発することができない、手足を動かすこともなく、
自力で動くこともできないベッドに寝たきりの状態の場合、
通常は植物状態か脳死と判定されます。
でも、このような状態でも
植物状態でも脳死でもない場合があるんです。
それが閉じ込め症候群です。
閉じ込め症候群とは、意識はクリアであるものの、
脳の障害で四肢麻痺や顔面神経麻痺などが起きて、
動くことも発語することもできず、
意志の伝達が不可能となった状態です。
意識はクリアで寝たきりになる前の状態と変わらないのに、
体が動かない状態、金縛りにあった状態と考えると
分かりやすいかもしれませんね。
閉じ込め症候群は橋出血や
脳底動脈血栓症などで起こることが多いのですが、
動眼神経は正常なままですので、
瞬きを意識的にすることは眼球を上下に動かすことは可能ですので、
瞬きと眼球の動きでコミュニケーションをとることは可能です。
閉じ込め症候群と植物状態、脳死の違い
閉じ込め症候群と見た目的に同じ状態が植物状態や脳死です。
あなたは植物状態と脳死、
そして閉じ込め症候群の違いがわかるでしょうか?
閉じ込め症候群は、
先ほども説明したように意識はクリアであるものの、
瞼と眼球以外は動かすことができない状態のことです。
そして、植物状態は大脳の機能は一部、
もしくは全部失われているので、
意識はなく自力で動くことはほとんどありませんが、
脳幹や小脳などの生命維持を司る機能は失われずに
正常に機能していることが多いので、
自発呼吸は可能であり、
脳が死んでいるというわけではありません。
また、必要な栄養や水分を点滴や経管栄養で補給すれば、
人工呼吸器を装着しなくても生命維持をすることが可能です。
脳死は大脳だけでなく、
生命維持に必要な脳幹や小脳の機能も失われていて、
自発呼吸がなく、人工呼吸器を装着していないと
生命の維持ができない状態です。
植物状態はまれに意識を回復することがありますが、
脳死から回復することはなく、
脳死の場合、人工呼吸器を外したら、
すぐに低酸素となり心臓が止まってしまいます。
閉じ込め症候群から回復することも
閉じ込め症候群は、
意識はクリアなのに瞼と眼球以外は動かすことができませんが、
残念ながら死亡率が高いのが現状です。
ただ、閉じ込め症候群のまま27年間生存した例もありますし、
自立までの回復が絶対に不可能というわけではありません。
閉じ込め症候群から回復するためには、
何よりもまず植物状態ではなく閉じ込め症候群であるという
正しい診断がつくのが先決です。
もし、家族が意識がなく寝たきりの状態になったら、
閉じ込め症候群ではないか、
瞬きは眼球の動きで何か合図を送っていないかを確認し、
閉じ込め症候群かもしれないと家族が思ったら、
MRI等の検査を行うように医師に提案してみましょう。
医師に提案するなんてと思うかもしれませんが、
万が一閉じ込め症候群だった場合、
早期発見と積極的な加療が必要になりますから、
そのような提案が非常に重要になるのです。