ハリウッド女優が行った遺伝性乳がんの予防手術とは?日本での遺伝性乳がんの予防の現状を知ろう。
ハリウッド女優の乳房切除
つい先日、アメリカの女優アンジェリーナ・ジョリーさんが
乳がん予防のために両乳房の切除手術を受けていたことを
明らかにしました。
アンジェリーナ・ジョリーさんは、特定の遺伝子に
変異があり、乳がんになる確率は87%と言われ、
彼女の母親も56歳の若さで乳がんで亡くなっているため
乳がん予防のための手術を決意したそうです。
手術後の乳がんのリスクは、5%以下にまで下がりました。
彼女の手術は、勇気ある決断として、
世界中から賞賛を受けています。
遺伝性乳がんとは
アンジェリーナ・ジョリーさんは、特定の遺伝子に変異がある
ことが原因で、乳がんになる確率が非常に高かったのですが、
この遺伝子の変異による乳がんは遺伝性乳がん、
または家族性乳がんと呼ばれています。
遺伝性乳がんは、乳がん全体の約5%を占めています。
原因遺伝子には、BRCA1、BRCA2の2種類があり、
アメリカのデータによると、この原因遺伝子を持っている人は
60歳までに約40%の人が、
75歳までに約80%の人が乳がんになると言われています。
予防的な乳房切除手術
アンジェリーナ・ジョリーさんは、遺伝性乳がんの予防のために
両乳房切除手術を受けましたが、
乳房の全てを切除したわけではありません。
彼女の場合は、乳頭温存手術をした後に、
乳がんのリスクとなる乳腺を摘出した後に、
拡張器と生理食塩水を用いて徐々に胸を膨らませ、
最終的に拡張器をインプラントに入れ替えたものです。
そのため、手術後の外見は、手術前のものと大きな違いは
ありませんが、女性にとって乳房を手術するということは
勇気ある大きな決断であったことは間違いありません。
日本での遺伝性乳がん予防は?
遺伝性乳がんの患者やその遺伝子を持つ人は、
アメリカだけでなく日本にもいます。
日本での遺伝性乳がんの予防の現状は、
どのようになっているのでしょう?
日本では、まだ遺伝性乳がんの予防的切除手術は
行われていません。
現在のところ、16の病院が実施の準備をしているだけです。
では、自分が遺伝性乳がんの原因遺伝子を持っているか
どうかを調べるためにはどうしたら良いのでしょう?
この検査は、血液検査で調べることができますが、
国内では約50施設のみが行っています。
また、保険適用外の検査になりますので、
費用が20~30万円と高額になってしまいます。
ただ、遺伝性乳がんの原因遺伝子を持っている人は、
乳がんになる確率が80%以上と非常に高いですので、
家族や親戚に乳がんになった人がいる場合は、
高額でも検査を受ける意味は大きいと思います。
検査により、自分が乳がんになる確率が高いとわかった場合
日本ではまだ予防的切除手術は行えません。
早期発見・治療を行えば、
遺伝性乳がんの予後は良いといわれていますので、
こまめにマンモグラフィーやエコーなどの検査を
受けるようにしましょう。