腸内細菌は、デトックスやダイエットだけじゃない。ノロウイルスにも腸内細菌が有効なことが判明!
ノロウイルスの感染源
毎年、冬になると猛威を振るうノロウイルス。
ノロウイルスは、
牡蠣などの二枚貝に寄生しているウイルスのため、
生牡蠣を食べる機会の多い冬に流行することが
多いのです。
ノロウイルスに汚染されている食品は、
牡蠣だけではありません。
ハマグリやムール貝も、二枚貝に含まれます。
ノロウイルスに汚染された生の貝類を調理した
まな板や包丁を消毒せずに、ほかの食品を扱うと、
ノロウイルスはどんどん広がっていきます。
また、厚生労働省の調査によると、
「魚介類加工品」や「野菜およびその加工品」からも
ノロウイルスが検出されていますし、
ノロウイルスによる食中毒の約7割が、
原因食品を特定できていないので、
生牡蠣を食べない時期でも、ノロウイルス対策は必要です。
実際に、毎年夏でも少数ながら、
ノロウイルスの感染報告はありますし、
病院やホテルでの集団感染も起きています。
ノロウイルスにも腸内細菌が有効?
腸内細菌というと、善玉菌と悪玉菌に分かれ、
善玉菌を増やして腸内環境を整えると、
デトックスやダイエット、
がん予防にも効果があるとされていて、
最近急速に注目が集まっていますよね。
この腸内細菌は、
ノロウイルス対策にも有効であることが、
北海道大学などの研究チームによって解明されました。
研究チームは、ノロウイルスが
血液型を決める抗原に吸着する性質に着目して、
健康な人の便に含まれる細菌を腸内に近い環境で培養し、
「SENG-6」という腸内細菌が、
ノロウイルスが吸着する抗原に似た物質を
分泌することを発見しました。
そして、この腸内細菌を電子顕微鏡で観察すると、
腸内細菌が分泌した物質に、ノロウイルスが
大量に吸着していることを確認したのです。
つまり、「SENG-6」という腸内細菌が、
ノロウイルスを識別して捕捉することが
わかったということです。
ノロウイルスの治療や予防法の確立に期待
ノロウイルスの治療は、脱水にならないように
水分摂取や点滴行うなどの対症療法しかなく、
ノロウイルス自体に効果のある薬剤やワクチンは
ありませんでした。
また、予防法に関しても、
ノロウイルスに汚染された貝類は加熱処理したり、
調理器具の消毒、手洗いやうがいなどが主なもので、
貝類をノロウイルスに汚染させないような
根本的な予防法はなかったのです。
しかし、北海道大学などの研究チームによって、
ノロウイルスを捕捉する腸内細菌が発見されたことで、
今後の研究によっては、新たな治療法や
ノロウイルス予防のための食品開発、
自然環境への拡散を防止して、
貝類のノロウイルス汚染を予防する方法の開発などが
期待されています。