食物アレルギーの原因とその対策方法とは?周囲の理解と対処法の認識の広まりが、求められています
食物アレルギーとその症状
近年、食物アレルギーを持つ子供が増えてきています。
これは、生活環境によってアレルギーを発症しやすくなった
という原因もありますが、
食物アレルギーへの認識が広がったことによって、
食物アレルギーと診断される人が増えたことも一因です。
食物アレルギーは、ある特定の食物を食べることによって、
身体の免疫機能が過剰に反応してしまい、
様々な症状を引き起こします。
食物アレルギーを起こす食べ物には、
鶏卵や小麦、そば、カニ、エビ、落花生など
70種類以上にも及び、発症数や重症度によって、
その食品を含んでいるものは、表示が義務化されていたり、
奨励されています。
食物アレルギーは、蕁麻疹や気分不快、
痒みなど軽症のものから、胃腸障害や気管支喘息の発作、
意識障害や血圧低下、呼吸困難など重症なものまで
様々な症状があり、即時に適切な処置をしないと、
死に至ることもあります。
食物アレルギーの原因とは
食物アレルギーは、経口免疫寛容というシステムが
うまく働かないことで起こります。
通常、人間の身体は、
異物(細菌やウイルス、化学物質など)の進入に対して
異物を認識して、それを排除しようとする
免疫システムが働いていますが、食べ物を食べた場合は、
この免疫システムは働きませんよね。
これが、経口免疫寛容というシステムです。
アメリカのジョンズホプキンス大学の研究チームは、
腸内にある免疫反応を司る細胞の表面に存在する
「SIGNR1」というたんぱく質が、
経口免疫寛容システムの鍵であることを解明しました。
マウスを用いた実験によると、
SIGNR1を通じて腸内の免疫反応を司る細胞を刺激すると、
経口免疫寛容が復活し、
食物アレルギーが軽減されたそうです。
現時点での対策は?
このジョンズホプキンス大学の研究で、
将来的に食物アレルギーを軽減、
または治癒できる可能性が出てきましたが、
現段階では、まだマウスでの実験のみで、
人体でも同様の効果が得られるのかは不明なままです。
そのため、現時点では食物アレルギーを持っている人は、
それを食べないようにするという予防策しかありません。
しかし、自分でも気づかないうちに
原因食物を食べてしまったり、
周囲の理解が得られないために事故が起こっているという
現状があります。
食物アレルギーの誤食事故は、
死につながる重大な事故ですので、各自治体や学校では、
給食でも除去食を提供するなど、
対応マニュアルを作成しています。
それでも、学校給食でも、
誤食の事故が年に数件以上報告されています。
アメリカでは、食物アレルギーの応急処置薬であり
「エピペン」を常備していて、
教職員は年に1回の使用方法の講習を受けている
学校もあるそうです。
食物アレルギーは、自分だけが注意していれば防げるもの
ではありませんので、周囲の理解と対処法の認識の広まりが、
現時点でできる最大の予防策と言えるでしょう。