医療の地域格差の現状と対策を知り、自分でできる事はしておきましょう
がんの医療の地域格差とその対策
現在の日本では、どうしても人口の多い都市部に
大病院が集中し、過疎地域は病院が少なく、
高度で最先端の医療は大病院で行われている
という現状があります。
つまり、住んでいる地域によって、
受けられる医療レベルに地域格差が生じているのです。
がんは、日本人の死因トップの病気であり、
日本人の2人に1人はがんにかかり、
3人に1人ががんで死ぬと言われています。
そのため、全ての日本人にとって、
高度ながん医療が受けられるかどうかは重要な問題ですが
高度ながん医療を行えるような規模のある
「がん診療連携拠点病院」は、
全国で344ある医療圏のうち236医療圏にしかなく、
約30%はがん診療連携拠点病院がないという状態です。
このがん医療の地域格差を解消するために、
厚生労働省は、がん診療連携拠点病院がない地域に、
拠点病院よりは基準が緩いものの、
一定のレベルの治療ができる「地域がん診療病院」を
設ける方針を決めました。
全国どこでも一定以上のがん医療を
受けることができる体制作りを目指し、
がん医療の地域格差をなくしていく方針です。
救急医療の地域格差
がん医療だけでなく、救急医療にも地域格差はあります。
重篤な患者を受け入れる3次救急の救命救急センターは、
100万人に1ヶ所を基準に設置されていますが、
人口の少ない地域では、救命救急センターへの
搬送までに長時間を要する現状があるのです。
国際医療福祉大学の河口準教授らの調査では、
搬送時間のベスト3は東京都(17.0分)、
大阪府(24.2分)、神奈川県(31.0分)だったのに対し
ワースト3は北海道(100.5分)、和歌山県(96.3分)、
鹿児島県(93.1分)となっています。
東京都と北海道では、
6倍近くも搬送時間に差が出ています。
このような救急医療の地域格差を解消するために、
ドクターヘリの導入やICT(情報通信技術)を
利用して救急隊がタブレット端末で搬送病院を探すなど、
搬送時間の短縮のための対策が採られています。
医療格差のデメリットを少なくするために
上記のような対策が行われていても、
医療の地域格差があることには変わりありません。
格差のある地域に住んでいても、
「いつでも高度な医療を受けたいから」という理由で
大都市に引っ越すことは難しいですよね。
では、医療格差のデメリットを少なくするために、
自分でできることは何でしょう?
1つ目は、1年に1度は健康診断を受けることです。
健康診断を受けることで、
病気の早期発見ができますし、
生活習慣病の予防にもつながります。
もし、健康診断でがんが見つかっても、
早期発見・早期治療を行えば、
比較的簡単な治療で済むこともあります。
2つ目が、
地域の救急病院の診察券を持っておくことです。
現在、救急車のたらい回しの問題が起こっています。
かかりつけではなくても、一度受診したことがあれば、
その時の検査データなども病院に残っていますので、
病院側が受け入れてくれる確率が上がります。
最後に、お薬手帳などをできるだけ持ち歩いて、
自分の既往歴や服薬中の薬、
アレルギーの有無などをわかるようにしておきましょう。
このような情報があれば、
救急搬送時の診断が早くなりますので、
早く治療を開始することができます。
個人では、医療の地域格差は解消できませんので、
自分でできる対策を行って、
地域格差によるデメリットを少なくしましょう。