急増する大人のアトピー患者。ステロイドに代わる新たな治療薬ができるかもしれません。
アトピーの新しい治療薬が開発される?
アトピー性皮膚炎に悩む人は、急速に増え、
ここ10年で患者数が2倍になったと言われています。
アトピーの治療薬といえば、
ステロイド外用薬が主なものでした。
でも、ステロイド外用薬は、皮膚が薄くなったり、
赤みが出たり、うぶ毛が濃くなるなどの副作用がありました。
そもそも、アトピー性皮膚炎は、
皮膚の防護機能に異常が生じて、異物が進入しやすくなり
アレルギー反応が起こってしまうことが原因です。
皮膚の防護機能は、
タンパク質である「フィラグリン」が担っていますが、
アトピーの患者さんは、このフィラグリンが
少なくなっていることがわかっています。
京都大学医学研究科などの研究グループは、
このフィラグリンに注目し、
フィラグリンを増やす有機化合物を発見して、
マウス実験をしたところ、
有機化合物を6週間飲ませたマウスは、アトピーの症状が改善し
ステロイド外用薬のような副作用も
見られなかったということです。
これは、アトピーに苦しみつつも、
ステロイドの副作用に悩んでいる人にとっては、
朗報ですよね。
今後、ステロイドに代わって、
この有機化合物がアトピー性皮膚炎の治療薬の中心に
なってくるかもしれません。
大人のアトピーの特徴
アトピー性皮膚炎といえば、
子供に多い病気というイメージがありますが、
最近は大人のアトピー患者が増えてきています。
大人のアトピーの特徴は、小児と比べて、
症状が出る部分が広範囲にわたることです。
小児の場合、膝や肘、首など関節部分に出やすいのですが
大人の場合は関節部分だけでなく、
顔や背中、足など全身いたるところに痒みが生じます。
また、子供のアトピーに比べると、
治りにくく、再発しやすいという面もあります。
さらに、大人のアトピー患者は、
呼吸器感染症にかかりやすいという研究結果も出ています。
フィンランドでの研究によると、アトピー性皮膚炎を持つ成人は
風邪や副鼻腔炎、扁桃腺炎、中耳炎などの
上気道感染症や気管支炎や
肺炎などの下気道感染症にかかるリスクが、
アトピーではない人に比べて、有意に高かったそうです。
大人のアトピーの対処法
大人のアトピーの対処法は、まず皮膚科を受診し、
処方された外用薬や内服薬をきちんと使用することです。
また、日常生活の中でできることは、
規則正しい生活をすることやスキンケアを重点的に行うこと、
アレルゲンを徹底的に除去することなどがあります。
規則正しい生活をすると、免疫力をアップし、
皮膚の防護機能が高まりますので、
アトピーの症状が軽快する場合が多いんです。
また、大人のアトピーは皮膚が乾燥する傾向にあり、
乾燥していると、皮膚の防護機能が落ちますし、
痒みも増しますので、皮膚を清潔に保ち、
保湿を心がけましょう。
最後にアレルゲンの除去についてですが、
アトピーを悪化させるアレルゲンは、ペットの毛やダニ、
埃、カビなど様々ですが、部屋をこまめに掃除して、
整理整頓し、少しでもアレルゲンを減らす工夫をしましょう。