ひどい下痢や腹痛に襲われる難病「潰瘍性大腸炎」をご存知ですか?
潰瘍性大腸炎とは?
潰瘍性大腸炎という病気をご存知ですか?
以前、安倍晋三首相がこの潰瘍性大腸炎で
総理大臣を辞任した経緯がありますので、
「潰瘍性大腸炎」という名前は聞いたことが
あるという人も多いかもしれませんね。
潰瘍性大腸炎とは、
大腸の粘膜に潰瘍やびらんができる炎症性の病気です。
この潰瘍性大腸炎は、自己免疫の異常によって
起こるのではないかと推測されていますが、
はっきりとした原因は不明で、
厚生労働省の特定疾患に指定されている難病です。
この潰瘍性大腸炎の患者数は約11万人と多く、
毎年8000人が発症しています。
潰瘍性大腸炎は欧米人が発症しやすく、
アメリカには100万人の患者がいると言われていますが、
近年は日本人の患者が急増してきています。
発症年齢は10代から60代までと幅広く分布していますが、
男性で20~24歳、女性で25~29歳が
ピークになっています。
男女比は1:1で性別差はありません。
潰瘍性大腸炎の症状
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起きることで、
粘血便や下痢、腹痛が起こります。
また、重症化すると貧血や体重減少、食欲不振、
頻脈、発熱などの症状が現れます。
潰瘍性大腸炎の合併症には、腸管の穿孔や出血のほかに
関節炎や結膜炎、壊死性膿皮症などがあります。
下痢や腹痛などの症状だけ見ると、
潰瘍性大腸炎はそれほど怖い病気ではないと
思うかもしれませんね。
そのため、この潰瘍性大腸炎は
誤解を受けやすい病気なんです。
安部総理も
「お腹が痛いだけで、総理を辞任するなんて!」
という批判が一部から出ましたよね。
潰瘍性大腸炎の下痢や腹痛は、
一般的な腸炎による下痢や腹痛とは程度が全く違います。
炎症がひどくなると、
「便意を感じた瞬間に便が出てしまう」
「1日中トイレから出られない」
「便意がひどくて外出ができない」
ということも珍しくありません。
下痢や腹痛は、
他人からどの程度ひどいのかが見えにくいものですので、
潰瘍性大腸炎による下痢や腹痛も、
「そんなにひどい病気ではない」という誤解を
受けやすいのです。
潰瘍性大腸炎の治療
潰瘍性大腸炎の治療は、
主に炎症を抑えるためのステロイド剤や
5-アミノサリチル酸製剤を使用します。
軽症の場合は、内服して通院治療が可能ですが、
重症になると入院して点滴による治療が
必要となります。
また、食事療法も重要な治療のひとつです。
大腸に負担をかけないように、植物性油や肉類、
牛乳、食物繊維、、アルコール類、
香辛料などは控えなければいけませんし、
「一度にたくさん食べないようにする」、
「よく噛んで食べる」などの注意も必要です。
潰瘍性大腸炎は、再燃・再発を繰り返す慢性的な疾患で
炎症が広範囲に及ぶと
大腸がんに移行するリスクが高いですのですので、
症状が一度落ち着いたとしても油断せずに、
自己判断で治療を中断しないようにしましょう。