ハンセン病は怖い病気ではない!ハンセン病への正しい知識を持ちましょう。
ハンセン病療養所が世界遺産登録を目指す
国立ハンセン病療養所は、全国に13ヶ所あります。
このうち2ヶ所が岡山県瀬戸内市内にありますが、
「ハンセン病療養所の将来構想をすすめる会・岡山」が
世界遺産への登録運動に
積極的に参加する方向を打ち出しました。
世界遺産への登録は瀬戸内市内の2ヶ所だけでなく、
全国13ヶ所の療養所のすべてを含む形での登録を目指し、
「負の歴史を後世に残すべきだ。全体で登録を目指す」
との基本方針をまとめています。
ハンセン病はなぜ差別された?
ハンセン病の歴史は、差別との戦い言えます。
差別されるほどの伝染病であるなら、
周囲への伝染力が強いのかと思いますが、
実際はハンセン病の伝染力は非常に弱いものです。
では、なぜハンセン病は差別されてきたのでしょう?
ハンセン病は、以前らい病と呼ばれていた病気です。
ハンセン病の主な症状は、
皮膚症状(発疹や紅斑)と神経症状(知覚障害や麻痺)で、
症状が進行すると、顔面神経麻痺による変形や筋萎縮、
運動障害などが現れます。
ハンセン病は古来からあった病気で、
昔は有効な治療手段がなく、顔面の変形や運動障害などが
目に見える形での症状が現れるため、
周囲の人から「伝染力が強い病気」、「怖い病気」、
「不治の病」という間違った認識をもたれてしまい、
隔離政策が推し進められていったため、
ハンセン病は差別される病気になってしまいました。
ハンセン病への正しい理解を
現在、ハンセン病は怖い病気ではなく、
不治の病でもありません。
ハンセン病の治療は、
WHOの推奨する抗生物質の多剤併用療法に準じて行われ、
しっかり治療をすれば、6ヶ月から数年で治る病気です。
もちろん、患者さんを隔離する必要は全くありません。
また、ハンセン病の感染経路は、
菌を大量に排出している患者さんとの
濃厚接触が主なものですが、ハンセン病の治療薬である
リファンピシンを服用している患者さんは、
感染源にはなりません。
さらに、現在の日本での新規患者数は
年間数名と非常に少数のみですし、
らい菌に接触する機会があっても、9
5%以上の人は自分の免疫システムの働きで
感染・発病を予防することができます。
このため、ハンセン病は全く恐れる必要のない病気なんです。
ただ、根強い差別が残っているため、
ハンセン病療養所の入所者は
ハンセン病が治っているにも関わらず、
療養所から出られないという人も多くいるのが現実です。
まずは、ハンセン病への正しい理解を持つことが、
差別をなくす最初の一歩であり、大きな一歩となります。
ハンセン病の差別をなくすために、
まずはハンセン病をしっかり理解しましょう。