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寝たきりの最大の原因となる脳梗塞。その治療法の最前線をご紹介します。




脳梗塞とは?

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脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまったり、
狭窄してしまうことで、十分な血流が保たれなくなり、
脳細胞に必要な栄養や酸素が行き届かず、
脳細胞が壊死してしまう病気です。

平成11年の調査によると、
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等)の
患者数は148万人いますが、
そのうちの約75%である112万9000人が
脳梗塞の患者さんです。

脳梗塞はその原因からラクナ梗塞
アテローム血栓性脳梗塞
心原性脳梗塞の3種類に分類されます。

ラクナ梗塞とは日本人に最も多いタイプの脳梗塞で、
脳の細い血管が狭くなって詰まることで起こります。

このラクナ梗塞の主な原因は高血圧です。

アテローム血栓性脳梗塞は、動脈硬化が原因です。

動脈硬化によって、脳の比較的太い血管が狭窄し、
そこに血栓ができて血管が詰まってしまうことで
脳梗塞が起こります

心原性脳梗塞は、
不整脈の一つである心房細動が原因で血栓ができ、
その血栓が脳の太い血管を詰まらせてしまう脳梗塞です。

脳梗塞の最新治療

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脳梗塞の最新治療をご紹介します。

その治療法は、t-PA静注療法です。

このt-PA静注療法はt-PAという
血栓を溶かす作用のある薬剤を静脈に注入する治療法です。

脳細胞は一度壊死してしまうと再生しないため、
脳梗塞になると命が助かっても
後遺症が残ることが多いのですが、
血管が詰まった後すぐに壊死するわけではありません。

t-PA静注療法は、脳梗塞を起こした後、
脳細胞が壊死する前に血栓を溶かして
血流を回復させることで、
脳梗塞の症状を回復・改善しようとするものです。

実際に、このt-PA静注療法で麻痺を
回復・軽減させることが可能です。

ただ、このt-PA静注療法は、
全ての脳梗塞患者さんに適用されるわけでなく、
使用可能な条件が設けられています。

その一例として、
発症後3時間以内に治療開始可能な状態であること、
出血性疾患の既往がないこと、
抗凝固療法(ワーファリン等の服用)を
行っていないことなどがあります。

また、t-PA静注療法を行うと、
出血しやすい状態になるため、
合併症として脳出血が起こるリスクが高まります。

そのため、t-PA静注療法は
脳出血が起こった場合を考慮して、
すぐに脳外科の手術ができる病院でないと
t-PA静注療法を行うことができませんので、
t-PA静注療法ができる医療施設も限られています。

新治療薬開発への期待

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t-PA静注療法は治療効果が非常に高いものの、
治療適用への制限も多く、
合併症を起こすリスクもあり、
さらに治療できる医療施設も限られているという
問題点もあります。

しかし、大阪大学の研究グループの研究が、
脳梗塞悪化を防ぐ新しい治療薬を開発するきっかけ
なるかもしれません。

脳梗塞の悪化を防ぐためには、
脳梗塞発症後数日以内に起こる炎症を
抑制する必要がありますが、
大阪大学の研究で免疫を調整する
「RANKL」というたんぱく質が
脳梗塞後の炎症を抑制することがわかりました。

今回の発見が、脳梗塞後の炎症を抑制して、
脳細胞の壊死が広がるのを防ぐ
画期的な治療薬の開発につながるのではないか
期待されています。





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2014年5月29日 | カテゴリー:健康全般 生活習慣病

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