温泉が原因で肺炎に?感染症のレジオネラ肺炎について知りましょう。
温泉入浴が原因で肺炎に?
温泉はリラックス効果が高いだけでなく、
「湯治」という言葉があるように治療や療養、
健康増進に効果のあるものです。
温泉めぐりが趣味という方も多いのではないでしょうか?
また、温泉に行かなくても、
スーパー銭湯などの入浴施設を
利用するという人もいますよね。
でも、リラックスできて
健康増進効果の高い温泉や入浴施設の利用が原因で、
肺炎になり死に至るケースがあるんです。
埼玉県の入浴施設を利用した
60代から80代の男性3人が発熱などの症状を訴え、
このうち66歳男性が肺炎を発症し、
死亡していたことがわかりました。
埼玉県の調査によると、
3人の男性が利用した入浴施設の浴槽から
基準値を超えるレジオネラ菌が検出され、
死亡した男性から検出されたレジオネラ菌がと一致したため
入浴施設の利用時にレジオネラ菌を吸い込んだことが、
発熱や肺炎の原因であると判明しています。
埼玉県はこの入浴施設を
レジオネラ菌が未検出となるまで
営業停止処分にすることを決定しました。
レジオネラ菌とは?
レジオネラ菌とは、
レジオネラ属に属する真性細菌の総称で、
陰性桿菌の一種です。
レジオネラ菌は温泉や
入浴施設だけに生息しているわけではなく、土壌や河川、
湖沼などの自然界に広く生息している細菌で、
通常は感染症を引き起こすことはありません。
ですが、40度以上の環境で増殖が活発になることなどから、
入浴施設などに多く生息しているのは事実です。
特に、汚れていたり閉鎖された空間内で
循環する水中内で増殖しやすく、
空調設備の冷却塔水や循環式の浴槽が原因で
レジオネラ菌に感染した事例が報告されています。
レジオネラ菌の感染経路はちょっと特殊で、
レジオネラ菌が生息している温泉や浴槽の水を
謝って飲んでしまったからといって感染するわけではなく、
レジオネラ菌が含まれている霧状の水(エアロゾル)を
吸い込むことで感染します。
レジオネラ肺炎の症状
レジオネラ菌に感染することでレジオネラ肺炎を発症しますが
レジオネラ肺炎は1976年に発見されたばかりの
新しい感染症なんです。
1976年にアメリカのペンシルヴァニア州で、
アメリカ在郷軍人会が開かれた際に、
参加者と周辺住民の221人が肺炎にかかり、
34人が死亡したことがありました。
この患者たちの肺からは新種の細菌が検出され、
在郷軍人(legionnaire)にちなんで
レジオネラ菌と名づけられ、
レジオネラ肺炎は日本で在郷軍人病と訳されることもあります。
レジオネラ肺炎は、
2日から10日(通常4~5日)の潜伏期間を経た後、
高熱や咳、頭痛、倦怠感、筋肉痛などの症状が現れ、
日を追って重症化し、
胸痛や呼吸困難、腹痛、下痢、
意識障害、歩行困難などを併発します。
肺炎の中では致死率が高く10~20%で、
治療開始が遅れてしまうと60~70%にも
致死率が高くなります。
特に乳幼児や高齢者、
糖尿病や慢性呼吸器疾患の既往がある人、
抵抗力が落ちている人などは感染しやすく、
また重症化しやすいので注意が必要です。